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静かなる内戦53~隣国マンディンカ物語・第二章4[ジョラの大移動]

 『シっ! 静かに。止まれ。』

『ん、ん。』

 『ガーラ殿、何か音? 足音? 草? 』

山伝いを回り込んで来たマンディンカの民はアクラに止まる様命じられた。

 『皆、伏せろ!』


アクラとガーラだけは、草陰からそっとその音のする方を覗き込んだ。

『かなりの大勢。』

 『こんなところになぜ?』

『ジョラの村から、だいぶ回り込んだはずだが、、』

 

 『この集団は、、』

『ジョラだ!』

 『山を越えて来たようだな。』


『どこまで行くんだ? 回り込んだ分、かち割ってしまったか、、』

 『たぶん、マンディンカが制圧された事を聞きつけたか?』

『わしらより先に逃げ込んだマンディンカ人から聞いたのであろう。』

 『村ごと大移動ですか?』

『おそらく。それほどの人数じゃ。

 わしらはこのジョラの行きつく先の更に奥まで行かねばならなくなったという事だ。』


『しかし、この奥に人の住めるような所なぞあるのですか?』

 『わしらだってそこに向かっておるんじゃ、行ってみんとわからん。』


『通り過ぎるのを待とう。』

 『こんな明るい時では見つかったら一溜りもないわ。』


『ニジェ様は見えるか? 一緒に付いて来てるのならいいのだが。』

 『この人数ではな。』

『とにかく奴らから離れ、東に奥へ奥へだ。』



ササッ

 『奥の奥。更に奥。いよいよ、本物のフラミンガになれそうだな。』


『おっ、ニジェさまぁあ!』

 『シッ!』

アクラとガーラの背後から声をかけたのはニジェであった。

 

 『ジョラとかち合いはせぬかと、途中から回り込んでみた。会えて良かった。』

『いやあ、ご無事で。』


 『アクラ、ムルは良いお人であったよ。』

『そうでありましょう!』

アクラはニコと笑った。

 


 『でだ、小耳に挟んだんだが、ここから半日ほど歩いた先、湿地を越えた辺りにジョラは居を構えるらしい。何やら広大で少し小高い地があるらしい。』


『ニジェ様!それは嬉しい情報であります! わしらもどこをどのように、どこまで行ったらよいか迷っていたところでありました。』

 『そう思ってな、何とかお前らに伝えねばと。』

『有難き。』

 

 『そのジョラの行きついた地を更に東へ、奥へだ。』

『わかりました!』

 

 『ゆっくりしてはおれん。俺は行くぞ。ジョラについてゆく。』

『とにかく、ご無事で。偶然にもお会い出来て嬉しゅうございました。』


それを聞いたニジェは小さく笑いながら言った。

 

 『臭かったよ、ムルの家はぁ、、』




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― 新着の感想 ―
[一言] ムルの家はそうとう臭いのかな? 時々、こういう文章があるとホットして、とーても良いです。
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