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静かなる内戦51~隣国マンディンカ物語・第二章2[ニジェとムル]

 日はとうに沈んだ星空の夜であった。


『私達はジョラの裏手を回り込んで夜のうちに先に進む。アクラ殿がお分かりになるようだ。』

 『では、俺はこのままここを下る。』

『ニジェ様、くれぐれもお気をつけて。』

 『お前らこそ無事で。』

『満月の狼煙を待っております!』

 

ニジェは枝木を掻き分け、無き道を下って行った。


 逆に向かったマンディンカの民が幾度となくニジェが下りていく方を振り返ったが、ニジェは一度も振り返ること無く、山の斜面を降りて行った。



 トントン!トントン!

『夜分にすみません!』

 ニジェは家の中に聞こえるか聞こえないかの声で、この家の主を呼んだ。

家の中からは読経のような唄が聞こえた。


 【聞こえないか、、こんな夜更けに大声はまずいし。】


すると、中から、老人の声がした。

 『誰じゃ、こんな遅く。』


戸が開いた。


 中から出て来た老人は身の毛もよだつ様な身なりであった。

ライオンのような逆立った白髪、髭は無造作に生え、やせ細った顔からはギョロとした目が二つ。

腰は曲がり、杖を持ったその手にはアリクイの様に伸びた爪が生えていた。


 【うろたえるな、、】

ニジェが生まれて初めて見る化け物だった。

 


『あ、あ、あの、、マンディンカから逃げて来たニジェという者です。』

 『マンディンカから!? まだ若いの? 一人か?』

『あ、はい。フランス軍に追われ、ここまで。』

 『一人で越えて来たのか?! この山々を!? 体格はいいが信じられん。』

『、、、』

 『まあ良い、夜も遅い、中に入れ。』

 ライオンとアリクイを付け間違えたケンタウロスのような爺さんは、ニジェを招き入れると入り口の戸をガタピシャと閉めた。


 【臭あぁ~い!】

ニジェは吐き出しそうな喉元をキュッと絞めた。


 『そこに座れ。』


『はい、ありがとうございます。』

 【どこに座るんだよ。汚いし、散らかり過ぎだよ】


 『お腹が空いておるだろ? 何か食べるか?』

 

『あっはい。 あっ、いえ大丈夫であります。』

 【ここの食いもんなんか口にできないよ】


『うまいぞぅ!』

と言うと爺さんは、皮を剥いだネズミのしっぽ持ってニジェの目の前で揺らした。


 『わしはムルという。この部族の霊媒師じゃ。』

ムルはそのネズミをポイと口にした。










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― 新着の感想 ―
[一言] ムル爺は、かわいいおじいちゃんのイメージだったのに、ちょっと怖い人相だったんだ。 ネズミも食べてしまうんですか、、 今日2回目の投稿ありがとうございます。
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