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静かなる内戦5~ニジェ

 『ニジェッ、ニジェ!起きろ!』

横向きになって目を閉じていたニジェは、ゆっくりと目を開けた。


黒目に映ったのは、ドンゴとパプであった。

 『起きろ!出かける。ディオマンシ様の命令だ』

『どちらへですか?』

 『よいから起きて身支度をしろ!』


 とは言っても、ニジェの身支度は、稲のむしろから起き上がれば、それで完了だった。

屋根も無い、むしろを轢いただけの、遊びで作ったアジトの様なねぐらだった。

  


 ニジェは制圧された隣の部族、マンディンカから逃げて来た少年だ。 

年はファルと同じ15。しかし小柄なファルに比べ、180cmの大柄だ。

 両親はフランス軍によるマンディンカの制圧とともに命を落としたらしいのだが、それはフランス軍の手によるものではないようだ。

 ジョラの部落に逃げ込んできたマンディンカの難民を片っ端から殺害していったのはディオマンシであったからだ。


 その中を逃げ延びて来たニジェは、ここにひっそりと暮らしていたが、なにしろ背が高い。

ディオマンシの手下に見つかり奴隷のように様々な荷役として扱われていた。


 『ニジェ!これを持て!三日、、いや六日分の我らの食糧。木の実が入っておる。』

『六日⁈』

 『そう、往復六日。』

ニジェはパプから麻の背負籠を預かると、前のめりになった。

『重い。』

 『お前武器を持っておらんだろうと思って、食糧と一緒に投石用の石も詰めてある。いつ敵に襲われるやもしれんからのう。』

笑いながらパプが言った。


ニジェはそれを背負った。


 ジョラの部族は旅の食糧に、肉は持ち出さない。

なぜなら、その血の臭いを嗅ぎつけた獣にいつ襲われるかわからないからだ。


『では行くぞ。』

ドンゴがニジェを手招いた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 両親を手に掛けたであろう支配者に隷属して生きるとは、ニジェの境遇はなかなかにきついものですね。 ファルとどう絡んでいくのか楽しみです!
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