表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/345

静かなる内戦39~隣国マンディンカ物語3『モリンガの種』

『これはな、誰も知らない事。この山々を越えて東に向かうのは至難の業。景色は緑一色。方角もわからなくなる。しかし道さえ分かれば草木をなぎ倒しても前に進む事ができる。』

 アクラは話し出した。

 

 『どういう事ですか? 道でもあるというのですか? 確かにアクラ様は何度も行き来してらっしゃいますが、、』

護衛官ガーラは訊ねた。


『先祖代々な、ずっとこの遣使を任されて来たんだ。いつの代かはわからん。グリオの唄にも出てきはしない。』


 『全くわからん。』


『もしかしたら、この為だったのかもしれん。人から木へ、木から人へ。』


 『えっなんです?』


『実はな、私達遣使がこうして各村々を行き来できたのは先祖のおかげなんだ。』



『よいか、この先を進むとモリンガの群生が延々と続く。と言ってもだ、もちろん他の草木も茂っている。ただよく見るとモリンガの生えているのは幅にして10メートル。しかしその群生の長さは、』

  

     『まさか!』


『延々とジョラの村まで続いておる。野を越え山を越えな。』


ガーラはニコとした。


『そう、この辺りでは見られない外来のモリンガの種を代々撒いて来たんだ。

ただ植えたわけじゃない。モリンガは煎じて飲めば血の薬にもなる。この行程、怪我はつきもんだしな。わしらは薬箱の木と言っておったんだ。』


 『それはありがたい。』


『道はわかるが、楽な道ではないぞ。フランス軍もこれを知らんでは到底ジョラにはたどり着けぬ。』


 『ではここを抜ければ、当面はフランス軍も追いかけては来れないと?』


『そういう事だ。とにかくガーラ。お前が指揮をとって、今ここにいるマンディンカ、一人たりとも欠けることの無い様導いてくれ。』


 『こちらこそ、アクラ様にお導きを。』


『それから、たぶんマンディンカの王の血を継ぐのは既にマタしかおらん。 手厚くお願いしたい。』


 『わかっております!』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『もう、カジュの酒は手に入れたも同然。次はジョラだ。』

ジルベール将軍は王の椅子に腰を掛け、バルの宝の部屋に笑いを響かせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] すごい頭良いですね、外来の種を植えてそれを目印にするなんて、マンディンカの民、みんな助けてあげたいです。 ホームページからのやり方は、知らなかったです。 調べて頑張ってますが、お気に入りユ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ