静かなる内戦34~王妃と女衆『ニジェぇ?』
王妃達は、宮殿をそそくさと後にした。
『あら?どうかしたのかしら?』
6番目の王妃、ヘレが寄り集まっている女衆を見つけた。
『どうした?』
一番目の王妃コリが女達に聞いた。
『あっ、コリ様!ご無事で!ディオマンシは?』
エザのママが聞いた。
『無事捕らえて、ひっちばってある。サニヤに見張りを任せてきた。』
『それはそれは。』
『で、どうした? この騒ぎは?』
『それがでございます、何やらあの山でマンサとアフィがフランス軍らしき男達の声を聞いたと。』
『そうであります!』
横にいたアフィが即座に答えた。
『本当か!? なぜ今、、』
コリは悔しそうな顔をした。
『それで集まっていたの?』
まだ若い20歳のへレがエザのママに聞いた。
『どうすればいいかと、、まだ王妃様達もどうなっているかわからなかったので、、けど少し安心致しました。
で、どういたしましょうか?』
『どうしようと言われても今聞いたばかり。』
コリは少し考えた。
『男衆もいないし、、どこかに皆で隠れるしかないであろ?』
『あのう、、』
ヘレが小声で言いだした。
『実はぁ、、』
『どうした?ヘレ。』
『実はぁ、宮殿のかなり奥の方なんですけど、、、ディオマンシ様の隠れ家がございまして、、』
『はあ?』それは第一夫人のコリさえ知らなかった。
『ある程度の食糧も備蓄しておりましてぇ、、』
ヘレは申し訳なさそうに下を向いて言った。
『フランスでも攻めて来たら自分だけ助かろうとしていたということだな。で、一番お気に入りのお前だけに教えたと。』コリは少し笑った。
『しかし誰がいつの間に?』
『あっ、建てたのはカマラ達三人です。』
『他に知っておる者は?』
『あとはぁ、、、あっ、ニジェ! 荷役のニジェが隠れ家に使う材料を運んでおりました。』
『ニジェぇ?』
『その後も、蓄えるための米やモロコシを時折。』
『この場に及んで、その事を一言も言わんとは。ニジェもニジェだが、お前もお前だ。』
コリが横目でヘレを見た。
『ごめんなさい。ディオマンシ様が怖くて。』
『「様」はもういらん。』
『場所はわかるのかい?』
『はい。』
『広い? 大きい?』
『かなり。』
『わかった!ヘレ、案内してくれ! 皆支度してその隠れ家とやらに逃げ込むぞ!』
コリは、いつもは色々話してくれるニジェのことが少し気になった。




