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殺戮と滅亡 90~おでまし!ファル王登場!!

「ハーン!お前らこそ裏切り者だ!俺達は否が応でもヴィンセントについていく!誰がここぞの部族の味方につくか!」

「そうだ!そうだ!俺達はオランダの兵だ!世界最強の兵なのだ!」

「ここでくたばれるか!あほんだら~!」


 オランダ兵がこの言い争いで忘れていた手元の銃。

先に銃を構えたのは20の整備兵。

気づくと先頭兵の耳元では、ブラルとバズの弓がギリリと鳴っていた。


「まずい!逃げろ~!」

泥まみれのオランダ兵達はスタコラと逃げ出した。

パ~ン

整備兵の一人から放たれた一発の銃弾が彼らの足元を翳めた。


 


 「もう良い。撃つな。奴らは同じオランダ人。ここで仲たがいしても始まらん。逃がせ。」

ハーンはそう言うと、それ以上追わなかった。

ここにも敵がいると記せば、囲んだだけでも充分だった。




 逃げた兵達は、宮殿の崩れた瓦礫。その西側。両脇に構える家々の手前で合流した。

兵はそれでもまだ500以上。


 「一旦退却だ!!立て直す! 作戦を練る!!戻るぞ!戻る!」

ヴィンセントは集まった兵に号令を掛け続けた。

 「ここには誰も住んではおらん!ここを一気に抜け、一度林に退却だぁ!」


 ぞろぞろと西の密林に向かい走り出すオランダ兵の軍靴の音。

軍服はすすと泥、糞尿混じりの染みだらけ。重みは倍。

ドサドサとその高床の家々の通りを抜けようとした。



 ヨレレ~♪ ヨレレ~♪

ドドドン♪ ドドドドン♪


「なんだ?!この音?この獣のような声? 太鼓のような音?」

「ここには人はおらんかったはず?」


ドドンゴ♪ ドドン♪

 ヨレレ~♪ ヨレレ~♪


  音が聞こえたのは、あの博物館のような家。

わらあし萱葺屋根かやぶきやねの上。

そこにギラギラと降り注ぐ太陽の猛射。

 

 萌えた草の蒸気は、その屋根に立つ男を浮き彫りにした。


 『待て!待て!待て!待て~~!』


「な、なんだ?!あの小僧は?!」

ヴィンセントはそこに映る片腕の少年らしき男に目をやった。



  

その片腕は人差し指と共に天に上げられた。

 『撃って~!!!』



 その掛け声を待っていた、左右の高床の家々。

その全ての家の小窓から矢と弾丸がオランダ兵に吹き降りのように襲い掛かって来た。


 

 待ち伏せしていたのはカザマンス王国・ファル軍であった。

慌てたオランダ兵は銃を乱射したが、家が盾になり、その板に弾丸が食い込むだけ。


 一方オランダ兵は軍服を着ただけの裸同然。隠れるのは味方の背中。

それは一つの塊りとなり、狙いやすくなった団子は集中砲火の標的となった。


 『撃て~!!撃って~!!ここが正念場だぁ!!叩き潰せぇ~!!』


 後退りした団子。後ろから来たのは、コリを先頭に6人の女達。

その彼らの背中に、次から次へと矢が放たれた。


 更にその後ろにはブラルとバズとオランダ整備兵。

しかし彼らは微動だに動かなかった。


「俺達は、オランダの軍服を着ている。今出て行ったらやられてしまう。待つんだ。待つんだ。」

ハーンがそう言うとバズがポツリと呟いた。

 「さっきの奴ら。素直にボートで待ってれば良かったのに、、」


矢と銃は、彼らの目の前で飛び交った。

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