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殺戮と滅亡 73~洞窟があった!

 爆破されたフランス船の瓦礫。その山の上。ボイラーとスクリュープロペラ。

20の兵でも抱えきれないそれは、下の瓦礫がれきをドミノ倒しさながらに一つずつ取り除き、ゆっくりと下ろしていった。

 瓦礫ギリギリに着けたタグ。それはこのオランダ軍艦機帆船のタグボート。

ダカールの蒸気船を一回り小さくし、船高を下げたほどの救助用。50人は優に乗れる大きさだ。

200人の奴隷を詰め込んだそれと比べれば20人は難なくだ。


 

 


 星が上から降ってくる宵闇よいやみが近づいた。



 整備の操縦兵は、機帆船に乗り込むと蒸気を焚き操舵した。

シュシュ ボッボッ


 密林の川に船の怒号。

煙突からの真っ黒な煙がその星をおおった。

舳先へさきを回し、下流に向けると、ゆっくりと瓦礫に近づけた。


瓦礫の下に高波が寄せた。




機帆船の船室や甲板の灯りが作業の兵をパパと照らした。


 「俺達は戦争なんかより、こうやって機械をいじるのが好きなんだよな。夜通しやっても苦にならん。」

「そうそう、もしオランダに戻ったら俺はこういう仕事がしたい。」

 「戻らなくても、ここでやったらどうだい? やりがいがあるぞ~」

「なんにつけても、一から作らねばならぬからな。ハハッ。」


ーーーーー


「繋がってはいないかぁ、、。」

 「この上流になればなるほど両川は大きく開く。」


ポンポン


ブラルが操縦兵と話し込んでいるハーンの肩を叩いた。


 ブラルはその場に穴を掘るように屈むと、少し先の南の岸を指差した。

バズはハーンに手招きをし、その手を引っ張った。


 二人に抱えられ足を引きずりながら、ハーンはその岸辺へと向かった。

鬱蒼とした草むらを分け入ると、そこに出て来たのは幅も高さも大きな穴。洞窟であった。


ブラルとバズは有りっ丈の手振り身振りで、説明を始めた。


「つまり、あれかな? この洞窟はカザマンス川に繋がっていると。ジャンプをして両手で丸。高さは充分か?」


ハーンが洞窟を覗き込むと、底には大雨の残雨がまだ満々と溜まっていた。


 「川と言うより、海のようだな、、」


操縦兵を呼んだ。

 「ここ行けるか?あの船で。」

「は?無理ですよ。入り口の高さと幅はいいとして、これがそのままこの大きさで続いているとは思えない。」

 「だよな。」

「しかも、入り口は下に向かった穴。どうやってあの船を水面まで落とすのですか?」

 「だよな。」

「水だって深い所もあれば浅瀬もあるだろうし。」

 「だよな。」


首を捻った。


 ポンポン

今度はバズが操縦兵の肩を叩いた。


バズはオランダの機帆船を指差すと両手を上げて後ろにひっくり返る素振りをした。


「なんだ?こいつ。何をいっておるのだ。」

 「ん?、、、我らの船。ひっくり返る。」


「アっ!!船に積んである!火薬だ!爆弾!」

 「そうか!岸と洞窟を結んだ線をぶっ放せばいいんだ!」


「そうすれば、カンビヤからの満々たる水が一気にこの穴に流れ込む!その流れに船を乗せればいいんだ!」

 「流れ込めば水の流れは南に向く。小奴らの言う事が本当であれば、カザマンスの川に出れる?」

「火薬を積んでいけば、浅瀬も、カザマンス川の出口も吹き飛ばせるかもしれないぞ。問題は水が流入した時の高さだけだが。」


「やってみるか? 簡単に言えば水路を造る時と同じ方法だ。」

 


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