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殺戮と滅亡 72~瓦礫の山のボイラー

 ブラルとバズは夕刻のカンビヤの畔。

フランス船の瓦礫の撤去作業を続けていた。


 

ハーンとオランダ整備兵は膝まで浸かりながら、二人のもとに現れた。


 バズは両手を上げた。抵抗しないという意思であったが、ブラルはキョトンと棒立ちのままであった。


ハーンは「違う違う」と言わんばかりに手の平を横に振った。

するとオランダ兵達は腰を屈め、瓦礫を片付け始めた。

バズはうんうんと頷き、両手を下げた。




「なあ、ハーン。あのくずの山にあるのはボイラーじゃないか?」

 「ん?ボイラー?俺は船に関してはなんもわからぬ。」


「あれはな。水管式蒸気ボイラーだ。」


一人の整備兵が瓦礫の山を登った。


「水に浸かっていない。スクリュープロペラも残っている。」

「ダカールの小型蒸気の物だな。」

「使えそうだな。」


整備兵達はその周りを取り囲んだ。


 それを見たハーンはポンとひらめいた。

 「なあ、皆んな。よく考えてみろ。俺達はこのままオランダに戻ったとしてもだ。ヴィンセントと1500の兵を置き去りにしたという罪。軽くはない。ヘタをすればその前にオールト少将に殺される。かと言って、またヴィンセントとは帯同出来ん。ののしった俺は奴の敵。どっちにしろブタ箱か死だ。」


「いやいや、俺らは、、ヴィンセントの帰りを待てばいいだけの事だが。」

 「またヴィンセントの元に戻りたいのか?」


「そ、それは、、死ぬよりも、、嫌だな。」

 「だったら、どうせ生きるか死ぬかだ。こいつらの味方をしてヴィンセントをやっつければ良い。」

「やっつけてどうする?」

 「この地の部族に敗戦したと。ヘイヘイのていでオランダに戻りましたと。」

「しかし、こいつらの味方をして負けたら、ヴィンセントの勝官軍だぞ。」


 「では、勝ったら?」

「、、、」

 「望みはそこしかないではないか? それに、、」

「ここの部族を助けてやりたいと言いたいんだろ?」

 「そうだ。その通り。小奴らこそ俺達の味方だ。」

「しかしそうは言っても、もうヴィンセントも小奴ら部族も到に先に行ってしまっている。」


 

 「そこでだ。お前ら整備兵だろ。このボイラーとタービン、このタグに搭載できぬか? 石炭は我が機帆船にたわわとあるだろ?」


「あるが、、タグに搭載したら凄い事になるぞ。」

 「世界記録の猛スピードか?ハハッ」


「けどダメさ。ここはカンビヤ川。カジュのあるジョラの村はカザマンス川の上流だぞ。だからヴィンセントも陸で行っているんじゃないか。」

 「整備の操縦士が地図を持っているだろ? 調べてくれ。どこかの支流で繋がっていないか?」


「あの二人に聞いてみれば、、あっ言葉が通じないか。」



 ハーンはブラルとバズを呼び寄せると、瓦礫の山のボイラーを指差した。


それを抱えるジェスチャー。そしてそのからの両手をタグという木製の小船の上に置く振りをした。



 『なあ、ブラル。ハーンが言ってるのはあれを、あれに載せるという事じゃないか?』

『あれをあれ?そしたら川の上を走っちゃうじゃん、、』



ハーンは胸を数回手で叩くと、川の東を指差した。


 『我々も、これに乗ってついて行くということか?』


そして両の手の平をを天に向けると首をかしげた。


 『しかし、道がわからぬ。って事か?』

『俺達だってわかんねえよ。ジョラの村なんて行ったことねえし。』



※昨日3月25日

「カザマンス紀行詩」というこの連載文中の詩を6編まとめた作品を(ジャンル・詩)投稿致しました。

宜しかったら是非ご覧になってみて下さい。


皆様にはいつもお読み頂き、感謝感謝の気持ちでいっぱいです。

本当に心よりお礼申し上げます。

ありがとう!

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