殺戮と滅亡 56~歩みの遅いジルベール・、、、マンサ姫
「お前さぁ。歩くの遅いなぁ。その上ヨロヨロ。」
「俺達はマンサ軍の先頭を歩いてるわけさ。」
「お前に逃げられない様にさッ」
「逃げても後ろに75人もおるから、まず無理だけどさ。」
「しッかし、歩けない、泳げないじゃ屁の役にも立たんなぁ。」
そう言ったのは通訳のワリとアゾ。フランス将軍ジルベールをを挟む様に行軍していた。
『お前ら、何を呑気にこの森を進もうとしておるのだ!ジョラの村に向かうのか?ここは我がフランス軍を以てしても数年掛かった山だ!それを、、』
「俺達はここを来たんだよ。お前らをぶちのめそうと。」
「お前らの兵ならこんな山、いとも容易く越えられたはずなのだがなぁ。」
「現にほれ、バスチア。奴はこの山を越えてジョラまで辿り着いた。」
「ま、着いたら着いたでやられちまったけどさッ」
『ん?そう言えば、、ワリ。お前。なんで生きておる?お前はバスチアと共に通訳としてジョラに向かったではないか! バスチアやレノーは殺されたのになぜお前は生きておる? あっアゾ!お前もだ!』
「だって、レンズ豆炒って火をつけたのは俺だもん。」
アゾが口を尖らせて言った。
『はぁ~?』
「バスチアは根性ナシだった。疫病~!と言ったらすぐ退散を決めよった。」
ワリは笑いながら言った。
ザクッザクッザザッ
「で、ルーガの地でモルガン少尉をやったのは俺達。」
濃紺の月夜。密林に3人の人影。
オランダ兵ハーンを両脇に抱えて、アゾとワリに向かって来たのは、ブラルとバズであった。
「パーニュの旗に見とれて落とし穴にズッボ~ン」
「あれ?どうしちゃったの?オランダ兵?」
「もう勝っちゃった?」
ワリとアゾが二人に聞いた。
「いやいや、こいつ。ハーンとかいうオランダの兵だが負傷していたので助けた。」
「は?なんで?助けるの?」
「ファル様のご命令。」
マンサが後方から走り寄って来た。
この部隊の隊長であったマンサだが、王妃という立場。隊の中ほどを守られる様行軍していた。
「どうしたのだ?」
「あッマンサ姫。お話が。ファル様からこの件につきまして説明をしろと。」
「こいつをどうしろと? マンサ姫と呼ばれるのは初めてたが、、、」
「はい!マンサ姫!お初にお目にかかります。私達は、、こいつがフラニのバズ。わたくしがセレールのブラルでございます。」
「地上をサバ様と。それにここにいるバブエと行軍した者だな?」
「左様であります。」
「で、このオランダの軍服を着ている者をどうすると?」
「はい。ファル様によりますと、これこれしかじかであります。」
「わかった。ではこのオランダ兵。ハーンであったか?送り届けたらすぐさまトンボ返りで私達の部隊につけ!」
「はっ!承知致しました!マンサ姫!」
「ん、んん。マンサ姫、、他に呼び方はないか、、、?」