殺戮と滅亡 53~水路と言う名のお堀造り
カザマンス王国は今日もスタコラスタコラ。
「おい、お前ら何をしておる?」
ディオマンシの檻の下で何やらザクザクと音がした。
丁度ムルが食事を持って来た。
「ほれ、ディオマンシ。今日の昼飯だ。」
木の皿に盛られたのはレノーの置き土産のレンズ豆とモロコシを火に炙っただけの物。
「チッ。しけた食い物だ。王の食べる物ではないわい!」
「いらぬか?」
「、、、まあ良い。置いてゆけ。」
「おーい!サニヤ!ロダぁ!セグぅ!ギザぁ!お前らも少し休憩してお昼にしろ~!」
すると、その4人はディオマンシの檻の下。汚物の流れる水路から鼻を抓んで出て来た。
「なんだ。お前らか!さっきからザクザク音がすると思ったら!」
ディオマンシはモロコシをムシャムシャとほう張りながら、そう言った。
「たまんないのさっ!このおっさんの、、オエッ、、、臭くて臭くて。」
「フン!」
「ムル爺。わたし達それいらないわ。食欲ないわ、、」
ロダがそう言うと、ギザだけはお腹が空いたのか
「今日のお昼ご飯はなんだい?」
「おー、お前だけは食欲があるようじゃの。今日のお料理は、、ヤギのお肉じゃ。ほれここに持って来ておる。召し上がれ。」
「はぁ~ん?ヤギのにくぅ~?」
ディオマンシがムルの手元を見ると、山盛りのお肉が盛られた皿が湯気を上げていた。
「おい!ムル!なんだそれは! 王がヤギの餌で小僧がヤギの肉か!か!か!」
「はい。働かざる者食うべからずです。」
「しかし、サニヤもロダもセグも食欲がないんであろう?わしにくれ。」
「食欲出てきました。」
女3人揃って返事した。
「フン!」
「ところで、お前らここで何をしとるんじゃ?」
ディオマンシが聞くと、ムルが答えた。
「何やらな。ニジェが言うのに、水路を延ばしてお堀とやらを造るらしいのじゃ。この城壁伝いにず~っとじゃ。」
「フン!またあいつか!」
「カザマンスから引いた水路はお前の檻の下を通って、またカザマンス川に向かうであろ? そうこの檻の為に引いた汚水用の水路。」
「それをどうするのだ?」
「その水路を使って外堀を造ると言うておった。堀があれば敵避けにも獣避けにもなるでの。で、この場所がカザマンスの川から一番近い上、丁度城壁が始まる所だ。そこを今サニヤ達が掘り起こしておるのじゃ。」
「それではわしが腹から出したものが壁伝いに広まるではないか、、?」
「いや、とりあえずはな。水はこの檻の下で堰き止める。お堀の水路が完成したら流れを考えると言っておったよ。それまでは、、、」
「おいおい、『それまでは』って、、それまでここは厠同然ではないか!」
「左様。厠。ま、しかしだ。お前のこの檻。城壁の内側に入れてもらっただけでも有難いと思え。」
「宮殿中が臭くなるぞ。」
「大丈夫であろう。檻は壁の中だが、お前のお腹から出た物は壁の外側の堰き止めた溜池に溜まる。臭うのは、、お前の檻の中くらいであろう。ハハハッ!」
「わしの食欲が無くなったわい。」
「美味いな。この肉。」
「うん!おいしい!」
サニヤ達とギザは照りつける青空を眺めながら、ムシャムシャとほうばった。
「サニヤ。もう一回言っていい?」
「何をだい?ギザ。」
「ふふ、美味しい!」
「ささ、食べ終わったらお仕事開始だよ!」
※一つ前の殺戮と滅亡52に
オランダ軍、ファル軍、マンサ軍の位置関係の折り紙工作地図を掲載させて頂きました。
またまた、子供じみた工作ですが宜しかったらご覧下さい。