殺戮と滅亡 43~ジオマンシとギザ
カザマンス王国は暑かった。
ギザはせっせと葦を編んでいた。
根を詰めたせいか、女衆が集めた酒に使うカジュの実を、その笊から一つまみ掴むと完成間近の城壁を見にトコトコと歩き出した。
「あれ?ここから壁が曲がってる。あッ、ジオマンシのいるとこか、、けどこれじゃあ、、」
ギザはまたトコトコと歩き出し宮殿内で休息を取っていた女衆の所に向かった。
「おーい!コリ~!コリしゃ~ん!」
「お、なんだい?ギザ。お前も一息ついて行くかい?」
モグモグモグ
「なんか食べてるね?」
「なにも。」
「さっきカジュの実を持って行ったろう?口をお開け!」
ゴクリ
一気に飲み込んだギザは話し出した。
「あのさッ。あの壁。ジオマンシのとこ。」
「それがどうした?」
「あの手前から曲がってるけど、檻は壁の外に出すの?」
「そうだよ。そう決めたの。奴は今は王でも罪人。宮殿の中に入れるなんて持ってのほか。」
「だけどさッ。もし、もし、敵が攻めて来たらさッ。」
「攻めてきたら、ディオマンシはそれまで。」
「おかしいよ。王様だろ?敵が来たら壁の外の檻に王様が入れられてるってさッ。」
ニジェが来て話に加わった。
『なるほどぉ。確かにそれはおかしい。』
「だろ?ニジェ。」
『ああ、ファル王様はこのディオマンシを何か事が起きた時の囮に使うつもりで、仮の王にしたのであろうからな。ギザの言う通り、中でなければならん。』
「だろ?外から見たらただの檻のゴリラだよ。」
『ハハッその通りだ。 では、コリ殿。今一度壁を。』
「やり直すってのかい? 呆れた、、」
「おいらがやろうか?そこだけでも。」
「危ないからおよし!とっても高くて子供じゃ無理。ほら、もうちょっとカジュの実をやるから、ニジェの手伝いをしな。」
『まあまあ、コリ殿そう言わず。』
ギザはその実を貰うと、ディオマンシの檻に向かった。
「おい!ジオマンシ!」
「なんだ!小僧!お前みたいなガキに呼び捨てにされる覚えはないわい!あっち行け!シッ!シッ!」
「カジュの実を食べるかい?」
「お、なんだくれるのかい? 酒どころかカジュの実さえも久しぶりだわい。くれ。」
ギザは獣に餌をやる様に、格子の外から実を放った。
ムシャリ
「頂いとくがな。わしは王だぞ!呼び捨てと餌やりみたいな事はやめろ!ただ置かないぞ!」
「知ってるよ。その椅子。王の椅子だろ?」
「そうだ。よく知っておるな。」
「うん、知ってるよ。砕けたからさッ」
「なんだ?砕けたとは?」
「縄を引っ張ったらさ、上から柱が落ちて来て、ズッコ~~んて。」
「どういう事だ?」
ムシャムシャ
「なんか、仕掛けがしてあったみたい。」
「仕掛け?」
「ニジェが作ったって言ってた。」
ムシャムシャ
「なぜ、わしはその時おらんかったのだ、、?」
「ほら、ジオマンシが、コリに縛られている間のことだよ。6人のお姫様達に縛られたとき。」
「、、、あの野郎、、」
「ほら、もう一個やるよ。カジュ。」
「お、おう、、くれくれ。」
※お分かりの通り、ジオマンシ=ディオマンシ。
ギザはジオマンシと言っていたようです、、、