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殺戮と滅亡 41~なぜ来たのか?2万のオランダ軍

 「しかも、この書物。ジョラの地に至る道、カジュの木の形、実の成る時期。生えている場所。それに造酒の方法まで全て記載されてございます。」


『宝の書だな。』


 「はい。」


『わかった。では我が軍をカザマンス、マンディンカに送り込め。』

 

 「すでにアデベルト将軍が指示を出しております。バンジュール沖にいた船団をであります。」

『ファンベルグ。地理学者の分際で抜かりないな。ハハッ!』


 「いえ、私が指示を出したわけではございません。それともう一つ。」

『なんだ?』

 「この書でありますが、これが無いとジョラに分け入る事、カジュの木を見つけ出す事もできません。」


『あ、そうだ、、』


 「この書、ゴレ島のエストレー要塞の保管庫に複写がございます。そうです、エストレーは元々我が軍が造った代物。今はフランスと共有しておりますが。」



『は?どういう事だ?』

 

 「先代、ウィレム2世。この地の奴隷を確保する為、西アフリカの地を記した、、地図とか風土、気候。人種。とにかく彼の地に関する物は全て複製しダカールへ持ち込んだのであります。」


『こんな古い物までか?なぜわかる?』

 「戦争というものはそういうものでございます。ありとあらゆる文献をひも解き、優位に進めねばなりません。宮廷の書記官に聞いてみました所、複製した物の中にこの書が記載されておりました。」


  『見事だ!見事だぁ~!』


 「奴隷戦争。それは闘いでありますゆえ、ウィルム2世も抜かりなかったかと。」


『では、わしからも指示を出す。アデベルトに伝えておけ。南米帰りの海軍も向かわせろと。その軍にマンディンカを制圧させるのだ。ゴレの近郊バンジュールにおるオールトは一旦エストレーの要塞に向かわせ、その書を調達しろ。して、ジョラの集落に直接踏み込めと! 大昔ではない、今のオランダの技術であればオランダでの栽培も可能かもしれぬ。駄目ならその制圧したマンディンカで作るのみ。とにかくアデベルトに伝えろ!カザマンスを制圧しろと!』


 「はっ!、、あっ、私は地理学者でありますゆえ、軍の管轄かんかつではありませんのでぇ、、そのぅ、、将軍アデベルト殿に申し送るわけには、、」


『わかった。では呼べ!アデベルトをここに呼べ!』


 「はっ!」



『面白い事になって来た。キリストの青い酒。うたえば世界中の誰もが飛びつく事であろう。』



 しかし、南米の植民地争いに勝ち戦を上げこの地に踏み入ったオランダ軍はアコカンテラの猛毒により、あっけなく壊滅した。


 ゴレ島からのオールト少将は、ヴィンセント中尉の3艘にその命を預け、早々にカザマンスを離れカンビヤを大西洋へと向かって行った。

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