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殺戮と滅亡 30~同じ考えファルとサバ、、そして。

 「あれ?そういえばジルベールは?まだマンディンカを指揮する地位におったはず。外に逃げたのか? オランダにやられたか?」

サバが辺りをキョロキョロと見回した。


足元にはオランダ兵とフランス兵がうずくまっていた。

 「ん?こいつらではないな。二等の軍服だ。」


それを聞いたハラが右手の親指を下に向け上下に振った。


 「ん?下? 下というのは?洞窟?」


「あいつ、逃げて来たんです。しかも一人で縄梯子を。」

 「は?フランス軍の将軍であるものが、指揮も取らずに? で、生きておるのか?」

「運のいい奴です。ただ、、泳げなかった。ほおっておけば中吊りであったろうに。」

 「今は?」

「捕らえて、マンサ様達が見守っております。」

 「マンサ?はて?女?」

「はい、ファル王様のきさき。マンサ様が。」

 「お妃様までこの戦場に?」

「男衆の誰より頭脳明晰。武闘派の姫君でございます。」


 『おい、ハラ。人のかみさんを武闘派とか言うなよ。』

「あッ、すみません。ベリー好きの葡萄ぶどう派であります!」




 『サバ殿。どういたしましょう?ジルベールの処遇。』

ファルがサバに聞いた。


「それはファル王がお決めください。それと「殿」はいりません。「サバ」で。」


 『では兄上と。』

「ま、それで、良いか、、」


 

 『しかしジルベールの処遇は、オレが決めるわけにはいかない。サバのお父上、バル王様を撃ったのはジルベールです。恨みや民の事を考えれば、その心中兄上にしか分からぬ事かと。なので、これだけはオレが関与するわけにはなりません。いかに?』


「わかった。」

サバは、しばし顔をゆがめた。


「では、こうしよう。ジルベールとはいえ助かった命。ここに座っておるオランダとフランス兵も同じ。戦闘中ならいざしらず、戦いは終わったのだ。もうこれ以上殺してはならん。この2人を見てみろ。敵同士だが闘う意思はない。ただ、この地を去ってもらえばよい。」


 『兄上。まさしくオレと同じ考え。向かってくればやらざるを得ないが、今はその時を過ぎた。』



サバが言った。

「アラン少尉殿。パルマランからのフランス兵9人。それとカンビヤで出会ったジルベールの兵20。貴兵らには色々と助けてもらった。礼を言う。して貴兵らも祖国に戻りたいであろう?カンビヤに着けたパルマランの船。それで戻られたらどうか?勝手に連れて来てしまった事を謝っての事。」




 「ほら、アラン殿が言っておった通りになったであろう? 俺達についてくれば、生きてフランスに戻れると。」

バブエが横にいたジルベール部隊のフランス人に声を掛けた。

「有難き幸せであります。」

 「カジュを採りに行かせたジルベールのおかげでもあるな。ハハッ。」


 


「それから。セレールとフラニの者!自分の村に戻りたいだろうが、まだどこにフランスやオランダの残党がいるかわからぬ。つかまって奴隷にでもされたら元も子もない。もう少しお付き合い願おうか。」


 マンディンカ宮殿にいた者。皆の頬が緩んだ。

アゾとワリは、その足元に背中合わせに座り込んでいたオランダ兵とフランス兵の緩む顔を見た。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 

 しかし、マンディンカの地で大量毒殺されたオランダ軍1万は、バンジュール沖にいた部隊ではなかった。植民地争いの終結を受け、彼の地南米から大西洋を航行し駆け付け行軍して来た部隊であった。


 ではダカールやバンジュール沖で、フランス船を撃沈していた1万の部隊はというと、既にこのマンディンカを回り込み、ニジェ達が守っている手薄なカザマンス王国に向かい進行していた。


 それはカジュ強奪部隊としての一団であった。

 

 この地には総勢2万のオランダ軍が上陸していたのだ。

※サブタイトル「殺戮と滅亡」はこの後のことでございます。


お読み頂き誠にありがとうございます。

「もう少しお付き合い願おうか」サバより。

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