静かなる内戦26~マンサとアフィ
『誰かいる。』
『エッ?』
『誰かいるわ。声がする。静かに。』
『後追いはあと何人おるんだ⁈』
『ざっと、50人ほど。』
『まだそんなにおるのか!どこをほっつき歩いとるのだ‼』
『食糧も底をつく。補給隊は?』
『まだその後方かと。』
『いつまで待たせるんだ!』
『バスチア中尉、あと数日のご辛抱を。』
『ネ、なにを言ってる?』
『わかんない。聞いたことない言の葉。』
『まさか‼
フランス人?軍?フランス軍?』
マンサとアフィは18と13の姉妹だ。
半日かけてこの山奥にベリーの実を採りに来ていた。
『間違いないよ。マンディンカの言の葉じゃないもん。』
『どうする?』
『どうする?って、逃げるしかないよ。』
『そういう意味じゃないよ。誰かに教えないと。』
『誰って?今は女しかいないよ。』
『ディオマンシ?』
『今はダメ。ディオマンシじゃない。ファルやニジェに教えなきゃ。』
『けど、、いないよ。みんないない。』
『とにかく山を下ろう。女衆には伝えないと。』
『わかった。』
『静かにゆっくり。 途中まで下ったら走ろう。』
『マンサぁ、もう来ちゃうよゥ。』
『うん。けど、なんか怒鳴ってる風だった。なんかイライラしてた。何かを待ってるような。』
マンサとアフィは中腹まで降りると、口を切ったように走り出した。
『ベリーは全部捨てちゃいな‼ 急がないと‼』
アフィは籠のベリーを一掴みすると、口にほうばった。残りは全部捨てた。
『大変なことになったね。』
『うん。』
『どうしよう、どうしよう‼』
『あたしがファルに伝えに行くしかないか、、追うしかないか、、、』
『けど、カマラがいるよ。』
『ファル達が戻って来るまでに間に合えばいい。たぶんカマラは、、いない。』
『女衆は?』
『それまで身を隠していてもらおう。』
『ディオマンシの宮殿にいる王妃達は?』
『王妃達は、、、今夜やらなければならないことがある。それまでは、、』
『やらなければならないこと?』
マンサは黙った。
『アフィ、あたしがファル達を追う!お前は女衆に伝えてくれ‼』
『マンサ、ホントに行くの?危ないよ!無理だよ!』
『行くしかないんだよ!! 母さんにも伝えといてくれ!』
山の麓まで降りると、マンサはそのままファル達のもとに走った。
アフィは泣きながら民の家々に向かった。




