殺戮と滅亡 28~雨のおかげでございます
「マンサ様は無事でしたが、そう言えばサバ王子とバブエ殿の兵は、どこに消えてしまったのか、、」
「物見から見てもその様な兵は見当たらない。」
『ん?サバ?サバ王子?それはバルの王の?お前らと一緒だったのか?ムルに聞いておる。言ってみれば我が兄上。生きておいでに?』
ファルは驚いた。
「そうであります。カンビヤの水門近くでお会いしまして、ダカールで奴隷の身をしておったそうでございます。」
『なんと、、、』
「そのサバ王子様がダカールから引き連れて参ったのが、奴隷だった者を含め700の兵。洞窟と地上に分かれ行軍致したのですが、井戸の途中で一斉の連絡が取れなくなりまして、、」
『地上におったのか、、このオランダとフランスとの戦闘。巻き込まれてしまったか、、』
ファル達は宮殿の物見を一周した。
大広間に戻って来た時であった。
ギィ~バタバタバタ!ドカドカドカ!
「ハラ殿!アラン殿!無事であったかぁ!!」
サバ王子の声であった。その広間に次から次へと褐色の兵。
弓と銃を手に350の民が入って来た。
「おー!サバ王子様!それにバブエ殿!ご無事でしたか~!ご心配をしておりました!」
「良かった!良かった!この血の海を見ましたら、、もしやと、、」
ハラとガーラの目から涙が光った。
「この裏手だ。ほれガーラ、あのフランスに攻め入られた時、お前とマタが逃げ込んだという裏山にな。皆で隠れておった。」
「ではサバ王子様は一部始終を?」
ガーラが聞いた。
「そうだ。裏山からよく見えた。攻めて来たら逃げようと待ち構えておったら、、、」
「おったら?」
「オランダが銃撃戦を仕掛け、火薬をドカンとぶちまけた。フランスは一溜りも無かったんだが、そのうちバタバタとオランダ兵が倒れだしてな。俺は思ったよ。きっとお前らが話しておった、我が弟ファル王が仕掛けたアコカンテラだろうと。」
「はいはい、はいはい。その通りかと。」
ガーラは頷いた。
「ところで、そのファル王はどこにおるのだ?まだ洞窟か?」
「えっ、あっ、そうだ!サバ王子様もファル王様も互いの顔をお知りでない?」
すると、ササッとファルがガーラの前に出た。
そして、サバ王子の前に膝をついた。
『わたくしが、カザマンスの王。ファルにてございます。サバ王子様には勝手ながら、マンディンカとジョラを結び付け、王国とした者にございます。わたくしの至らぬ所、この身分の不手際、お許しにならぬ様でございましたら、なんなりと刑はお受けいたします。』
「おー、若いのになんたる人物。」
『滅相もございません。』
「では刑を申し渡す。立て!」
ファルは命じられるままスクと立ち上がった。
「この全軍、この民。全てお前に預ける。そうだ、カザマンスの王になるという刑だ!ハハッ!甘んじて受けてくれ!」
そう言うとサバは、ファルの前に膝をつき頭を下げた。
「これからは、私が跪く身であります。ガーラやハラ殿から、そのご活躍ぶり聞いております。この度の、我が軍に一滴の血も流さぬ策略と戦術。見事でありました。」
『いえ、この天の。雨のおかげでございます。』




