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殺戮と滅亡 26~バル王の大広間

 マンサ達75の部隊はハラの部隊へと地底の湖に飛び込んだ。

どちらに集まっても良かったのだが、何せハラの部隊は奴隷を含め350。

移るなら、マンサの部隊が移動した方が早いと思った。


 マンサがファルの王妃になった事を知ったンバイとマリマは岩場に上がって来た濡れたマンサの身体をキツく抱きしめた。

 2つの部隊は合流した。

ーーーーーーー


 『ゆっくりとだ。そ~っと。』

ファルがそう言うと、ハラが階段に続くアクラの部屋の扉を開けた。


「やはり、なんの音も。話し声すらしない。」

 「オランダがフランスをぶちかましたなら、この宮殿を必ず占拠するはず。ここがマンディンカの中心。ジルベールがいるという事を考えてもだ。」

アランが言った。

「間違いなくその通り。ここに誰もおらんというのは有り得ない。」

ガーラもうなづいた。


 


 先頭を切ったのはそのガーラ。

この内部に一番詳しかったからだ。

ファルは先を行こうとしたが、片腕の王には弓を扱う事が出来なかった。


 扉の前に現れた階段を一歩一歩音を立てぬ様進んだ。

たった10段の階段。5段辺りですぐバル王の大広間の床に頭が出る、吹き抜けの階段だ。


 ガーラは4段上がると、少し背伸びをしてキョロキョロと広間の様子を窺った。

 「誰もいないようだ、、」

「おかしいな、、さっきまでドンパチと。」


 弓を引いた構えのまま、ガーラ、アラン、ハラ、ファルと続いた。

ワリとアゾも、バル王の広間の床に足を乗せた。


 

 『いない、、誰も、、』

皆で辺りを見回した。


地下とは違う塊りの様な熱風が漂った。


「あっ。」

ハラが声を上げた。


 広間の角。ジルベールが座っていたであろう机と椅子の裏側。

2人の軍服を着た兵が背中合わせに足を伸ばし、座ってヘタリ込んでいた。

上って来たファル達の方を見るでもなくグッタリと首を垂れていた。


 『生きているのか?』

「わかりませんね。」


 その小声に、二人の兵が血だらけの顔をファル達に向けた。

赤くにじんだ顔に、透き通るブルーの瞳だけがギラと光った。


 ファルは一瞬たじろいだが、兵はまたコクリと下を向いてしまった。


「ファル様。あの二人の軍服をご覧ください。片や我がフランス兵。片やオランダ兵でありますよ。」

アランがファルに伝えた。


 『何が起きたのだ? ここで何が起きたというのだ?』




「この宮殿にはバル王の広間を取り囲む様に、物見の通路がございます。」

ガーラが言うと、アランが聞いた。

「ベランダのような物か?俺はフランス兵だが、この宮殿に入った事がないのでな。」

「オランダ?」

「べ、ラ、ン、ダ。」


「知らぬが、とにかくマンディンカの村が一望に見える外の通路だ。」

「やはり、ベランダ。」

 

 

 


  『出てみよう。そこに。』


「ファル様。この2人はどうしましょう?フランス兵とオランダ兵。」


 『人質に出来るかも知れん。アゾ、ワリ。そいつらを見張っててくれ。』


「ガッテン!」


「では、外に。」

 『そっとな。』

ハラがジルベールの椅子の後ろ。座ったままの二人の兵を横目に、物見の通路に出る扉をスーと開けた。


 突き抜ける青空のそこかしこに、悶々(もんもん)と黒煙が立ち昇っていた。

※小説の流れ上、「フランス兵アラン」と「ファル、ハラ、ガーラ等の部族兵」との通訳は省いております。

 アゾやワリが通訳しているものとご理解下さい。

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