静かなる内戦24
落ちたシダの葉が雨で体にペタとまとわりつく。
足にはおびただしいヒルが絡むように吸いつく。
疲れて来たのか、それからは誰も口を開かなかった。
子供たちは時々ピッと跳ねる小魚を捕まえては放し、捕まえては放し、歩き続けた。
元々、乾燥地帯に住んでいた彼らにとって降り続く雨はきつかった。
スコールのような一時の恵みの雨とは違う。
それに輪をかけてきたのが、足元の川の水と集団で移動するということだった。
あの大移住の時のように世話をやいてくれる女衆も皆無だ。
夜明け前に出発してまだ昼を過ぎたばかりだったが、パプとドンゴと来た時とは明らかに違う。
年寄りもいる。10を過ぎたばかりの子供もいる。
すべてが全員の肩に重くのしかかった。
『カマラ様、皆少し疲れてきているようでございます。これでは現地に着く頃には、、、
兵力にはなりませぬ。』
ニジェが数歩戻ってカマラに話かけた。
『うむ、どこかで少し休まなければならんかな。』
『まだ日が沈むには早いですが、どこか休める場所でもあれば。』
『しかしここは川の中と言っても過言ではないぞ。』
『、、、そういえばこの先のどこかに湧き水の湧いた綺麗な沼がございました。
川べりから少し入ったところであります。休むにはもって来いの畔もございました。』
『ほう、大きい沼なのか?』
『はい、パプ様もドンゴ様もその水をえらく気に入っておられました。大変おいしゅう水でありました。』
『本当か?』
『帰りにまた寄りたいとまで言っておられました。』
『場所はわかるのか?』
『あの日は天気も良く、木々を揺らすくらいの朝焼けでありました。その光が沼を照らし川べりにまで漏れておりまして、、、この雨でわかるかどうか、、』
ニジェは本当に不安であった。
天気のことまでは考えていなかった。
しかし、行かなければならなかった。




