殺戮と滅亡 3~ジルベールの予想
「ブラル。そろそろマンディンカの北だ。帆柱にフランス国旗を掲げてくれ!」
サバはブラル達に指図した。
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「ジルベール殿!カジュの木を探しに行った部隊が、モリンガの道寸手前。カンビヤ川の岸に4艘の船が停泊しているのを見つけました!」
『ん?どこぞの船だ?』
「そのうち2艘の機帆船は我が軍の国旗を掲げているそうであります!」
『ほう。どうしたのだ?』
「船体にはpの文字。パルマランかと。」
『ほう、確かにバンジュールの船はオランダにやられたと聞いた。わがバスチアの船も。しかしパルマランの船はやられたと聞いてはおらぬな。』
「ここマンディンカまで来る理由は?」
『、、、オランダから逃げ、わしらに助けを求めに来たか、あるいはルイ・フィリップを裏切ってわしに協力する事にしたのか?書を持って来た兵もパルマランのリュカとか言っておったな。』
「、、アラン殿に限ってそのような協力はないかと、、」
パシッ!
ジルベールはまたしても二コラのベレー帽を引っぱたいた。
『お前はいちいち、わしの気に障るような事をいうのう。もう2つくらい階級を下げようかのう?』
ジルベールは葉巻に手をやった。今度は自分で火を点けた。
その煙を大きく吸い込むと、窓の外に吐いた。
『で、カジュを探しに行った部隊はどうしとるのだ? 船に乗り込んでみたのか?』
「それがぁ、、船の中には人っ子一人おらず、もぬけの殻」
『こちらに向かっておるのではないか?どこかで行き違ったとか?』
「かと思われますが、あの4艘で来たとあらばかなりの大所帯。パルマランの兵は数百。使っておった奴隷までおれば更にかと。」
『パルマラン駐留部隊がわしらを攻撃する理由は一つとしてない。ましてやオランダが攻めて来ているというこんな時に自軍同士で戦う意味はない。間違いなく助けを求め、わしに協力するつもりだ。』
「しかし、ひとつだけ懸念が、、」
『なんだ?言ってみろ。』
「あっ。もうこれ以上階級を下げられるのは、、」
『それ以上下げん!言ってみろ!ハハッ!』
「、、先ほどの話。パルマランの兵リュカを射殺したという事であります。」
『なあ、二コラ。そのリュカとかいう兵はここには来ておらぬのだぞ。そういう事になっておるだろう? わしは会ってもいないし見た事もないと。』
「左様でありますが、、」
『では、問題はないな?』
「あっ、はい、、」
『しかし、それだけの兵が来るとなるとだ。カザマンス川の水門をまた開けねばならぬな。』
「はっ!」
『それと、リュカを埋めた場所。もう一度土を盛れ。しっかりとな。』