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[カザマンス・FOURTH]【第一幕】 殺戮と滅亡1~乾いた水路

 砂塵さじん舞う廃墟の村。しかし地に張った残されている多くの枯れた根は、ここが以前は密林の奥深い別天の地であった事をほのめかしていた。

 

 数年前にこの地を訪れた探検家は、そこで人工物である崩れ散った石垣を発見した。

その乾燥土で作られたブロックの幾つかには[G]の文字が記されていた。

 

 石垣の周りだけは、ブビンガやムクロジの木が大木になって生え揃い、その一本一本に数々の植物が絡まり太陽の光を浴びていた。

 

 この辺りには、昔ジョラという部族がいた事。そして占領地としていたフランス軍、その将軍の名はジルベール。双方共に「G」である事が、問題を不鮮明にしたが、彼はそのブロックの文字をフランス軍が掘った文字だと決定づけた。それは当時この辺りに居住していたアフリカの部族達は文字を持たないというのが定説であったからだ。

 ただそれが、何を意味するものなのかを見つけ出す為、再びこの地を訪れた。

 

 それは西アフリカ、カンビヤ川とカザマンス川の上流。深い森に覆われた山々を下った乾燥の大地であった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

   

  【カザマンス・FOURTH】

 


 「どうだい?ファル。まだ腕は痛むかい?」

ぎ取られたんだからな。中々痛みは引かないよ。』

 「血は止まったみたい。けどこれじゃあ血が足りなくなるわ。鳥を打ち落とすから、沢山食べて血を取り戻しましょう。」

 マンサは筏の柵の上にまたがるとキキと弓を弾いた。


シュルルㇽル~!


川面から羽ばたいたばかりの水鳥が、バシャバシャと羽をバタつかせ、また水面に落下した。

 

 ドルンがオールでいかだをそこに向かわせると、マンサは身を乗り出した。

そしてその水鳥の羽をつかむと、両手でその首根っこをギュイと曲げた。

「ほい、一丁上がり!」


 


 お腹は空いていた。

片腕を失くしてから何も口にしていなかったファルは、ムシャクシャとかぶりついた。


 『なあ、マンサ。ムルの言う通りなら、そろそろマンディンカの水路の引き込み口が見えて来る頃なんだが。小さな水門があるって。』

 ムシャムシャ


「ファル様、その食べ方、まるでディオマンシよ!ハハッ!」

 『フン!』

「その言い方も。王になるとこうなっちゃうのかしらね?」

 『一緒にすんない!』

「水路はね、ドルンが今、見てる。ドルンもそろそろじゃないかって言ってた。」



 

 「あれ? ファル様。ちょっと筏を岸辺に寄せてもよろしいでしょうか?」

『どうした?』

 「水門が閉じてある。大きな丸太の扉。」

『使ってないのか?』

 「ちょっと降りてみます。」


ドルンは筏を岸につけると、ヒョイと飛び降り水門の裏手に回り込んだ。


 「ダメです!水路は乾き切っています。」


『何とか扉を開けて、川の流れをそっちに引きづり込む事は出来ないか?』


 「長い事使った形跡はありません!しかも周りの土砂が流れ込んでいて、、」


『、、それではそこに流しても、、』

 「マンディンカの宮殿まで、毒どころか水すらも届かないかと思われます。」


『、、、』

※上文13行、探検家の描写はこの物語の追加補足文として、この物語の始まり[カザマンス・FIRST]静かなる内戦1~少年ファルの導入部分に付け加えてございます。


付け加えた時に、この後書きでご報告いたしましたが、先よりお読み頂いていらっしゃる方には大変申し訳なく思っております。

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