静かなる内戦23~ハラ
『ハラ。背負籠はどうした?』
【やっぱりカマラは抜け目ねえや。】
『ムルの爺が『もう無理だ。心の臓が止まりそうだ。』と言うんで。』
『言うんで?どうした?』
『背負っていた籠を頭からかぶせてやりました。』
『中身は?』
『もちろん中身ごと。』
『ハッハッ‼ 息が出来んではないか!』
『ですから、中身ごと。』
『お前、ムルの爺に祟られるぞ。』
『、、、、葦の籠で墓を立ててやったと思えば感謝こそされ、祟られはしないかと、、』
『お前はバカか!墓は死んだ後に立てるもんじゃ。』
『しかし、死んだも同然。』
『まあよい。戻ったらディオマンシ様に頼んで、お前に勲章のひとつでもくれてやるわ。』
カマラは笑ってそう言った。
『有難きお言葉。』
『おい!そこのガキ!ハラが手ぶらになっておるから、背負籠を渡してやれ!
しばらくの間それが勲章だ!』と更に大きな声で笑った。
『有難き幸せ。』
ハルがそれを背負うと、カマラはまた笑いながら言った。
『バカ!勲章は前に掲げるもんだろ?背負ってどうする?』
『これでは前が見えません。』
『本当にやるバカがおるか! ハハッ‼』
後ろの騒がしい声を聞きながら、先頭を行くニジェは雨止みを待っていた。
【日が差して来ないかなァ。止むだけではなァ。】




