マンディンカ闘争 30~ジワリジワリ
「あッ!あの船!パーニュの旗を振っているのはバズではないですか?!」
パルマランの機帆船の甲板に出て、見張りをしていたブラル。
船室にいたバブエに声を掛けた。
「本当だ!無事であったか!」
オランダ船であろう船の動向を探って、カンビヤ川の岸に沿ってしばらく停泊していたサバ達2艘の機帆船にセレール、フラニの陸上部隊が蒸気船に乗って合流した。
『問題はここからだ。アラン殿、この辺りは、、』
「サバ様はご存じない?」
『マンディンカから出た事がないのでな。全く。』
「この数十キロ先、川幅も狭く川底も浅くなります。私達パルマラン兵は船でよく偵察に行っておりましたので。この船では無理かと。」
『どこかで上陸せねばならないという事だな。』
「どういたしましょうか?」
バブエが言った。
『では、俺とバブエ、アラン殿はカザマンスに上陸する。ブラル!お前はバズともに筏でアコカンテラの木箱を輸送しろ。カロとダラも連れて。』
「筏は?」
『この船を乗り捨てた場所で突貫で造るんだ!アコカンテラ部隊の指揮はブラル、お前がとれ!』
「アコカンテラ部隊、、カッコイイ」
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「ガーラ殿。お前らマンディンカの民はここを歩いてジョラに来たのか、、ずっと景色も変わらぬジャングルをただただ歩くだけ。」
「私達はフランス軍から逃げていましたので、そんな事など微塵にも。」
「そうかぁ」
「もう少ししますと、たぶんではありますがマタがニジェとなり、フラミンガの民を名乗った場所があるはず。』
「この林の中、わかるのか?」
「アクラ殿がそこの大木に、フラミンガの羽ばたく彫り物をして参ったので。」
「見てみたい。そのフラミンガ!」
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『悪いが、マンサ。ここからしばらくお前が指揮を取ってくれ。この腕ではどうにもこうにも、、傷が癒えるまで、お前が女王だ。痛くて目も開けられないのだ。』
「はッ?私が?」
『そう、ドルンと協力して、、』
そう言うとファルはパタと深い眠りについた。
「マンサ様。ファル王は腕を失った以上に疲れているのだと思います。考えてご覧あれ。パプとドンゴを射ち、カマラを倒し、ニジェ達フラミンガの内戦まで抑え、フランス軍まで追いやった。この若さにして、策略から実行まで全てその、、、捥ぎ取られた手で。」
「わかってる。わかっているよドルン。ここからはファルと一心同体。しばしの間、私がファルを背負うよ。」
「マンサ王。お願いいたします。」
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マンディンカの西、カンビヤ川下流からは、サバ、バブエ、アランの上陸部隊と、アコカンテラ部隊総勢700。
東からのカザマンズ王国部隊は、モリンガの道とカザマンス川の北と南に二手に分かれ総勢150。
一方、ロドルフとステファン軍曹まで失ったジルベール率いるフランス軍は、400となっていた。
ジルベールは、ジワリジワリと、計850のアフリカの部族達が詰め寄って来ている事など知る由もなかった。