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マンディンカ闘争 27~ドゴンの信仰

「この矢は?ドゴンの物ではない?」

 「どれ、貸してみろ。」

「私は見た事がない。」

ガーラは、散らばった骨の間。地面に突き刺さっていた一本の矢を抜くと、ハラに手渡した。


 「これは、、これはカマラの矢だ。」

「カマラ?というとあの?」

 「そうだ。お前が矢で射ったカマラだ。このトゥーカンの羽、その黄色い羽根だけをはずの部分に。よく自慢していたから知っておるよ。」

「ではこのドゴンを打ったのはカマラ?」

 「間違いない。」

「ディオマンシが言っておりました。フランス軍に追われマンディンカから逃げて来る者、容赦なく殺したと。まさかこのモリンガの道だとは。」

 「ドゴンはマンディンカ人ではないが、ジョラに向かって来る者全て撃ち殺したということだな。」



「しかし、ハラ殿。私には不可解な事がありまして。」

 「何がだ?」


「ドゴン。住んでいるのはマンディンカの遥か北。断崖絶壁を切り崩した狭い居住。私たちマンディンカより先にフランス軍の侵略を察知し、ここまで逃げて来たとは思えぬのですが。」

 「確かにな。それに逃げるならこんなモリンガの道をジョラに向かわなくても。」




「この骨は、それより前の物かも知れませんね。」


 「しかしここをカマラ達が通る必要が、それ以外に見つからん。」


「ディオマンシが言っておりましたが、ファル王のお父上と母上。捕らえてマンディンカまで送り届けたのは、、確かそのカマラ達ではなかったですか?」


 「ん、そうだ!俺はムルからその話を聞いた。ンバイとマリマは殺さずマンディンカに送り返したと!」


「そうですよ!このフランス軍に立ち向かうのも、そのンバイ様とマリマ様、それに奴隷として扱われているであろうこの地の部族を助け出す為。」


 「その時かもしれないが、、そのぅ、、なぜここをドゴンが通るのだ?」


「その時はまだ、マタ様、、あっ、いやニジェ様はマンディンカの宮殿におられたはずだし、、」


 「何?ん?マタ? ニジェがなぜ?関係ある?」

「あっ、口を滑らした!」


 「もしかして、この虹色石、、ニジェはドゴン族、ドゴン人なのか?」


「あ~言ってしもうたぁ、、」


 「そうだったのか、、、まっ、事情はあとで聞こう。そうかと言ってドゴンがここにおるのは不自然。」



「ハラ殿。この骨と毛皮。矢の向き。背中から射られています。」

 「それが?」

「西から東へ、ジョラに向かっていたとばかり思っておりましたが、、ほら、これはマンディンカに向かって歩いていたのではありませんか?」


 「逃げてきたとばかり思っていたから、、あっいやいや、カマラ達に追われれば背中を向けるぞ。」


「いえ、ハラ殿。ドゴンは敵に背を向けることはないのです。それは彼らの神話に基づくもの。信仰上ありえない。背中から殺られたとあらばいきなりの不意打ち。」

 「恐くないのか?逃げないのかい?」

「彼らには、生きる、死ぬという概念がないのです。」


 

 「そうか、この骨。彼らが神話に基づいて行動してくれた事により、行こうとした方向を教えてくれているということか、、ニジェはその血を継いでおるということだな。」

 



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