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マンディンカ闘争 22~ジルベールと二コラ

「ジルベール将軍殿!!バンジュールの機帆船3艘!オランダ軍に撃沈されました!!」


 『オランダ? バンジュールの港にまで入って来たのか?』

「いえ、沖合です。バンジュールの船はダカールに向かうようでありました。」

 『あのロベールのバカ。素直にわしの言う事を聞かぬからだ!さっさとマンディンカに来れば良かったものを、フィリップ王のめいに従いやがって。』

「いかがなされます?」

 

 『本国に頼め!兵を2000。追加だ!マンディンカに呼べと。』

「しかし、失礼ながら、ジルベール殿は王からの書を破り捨て、このマンディンカの部隊は一歩も動いておりません。そのような注文が、まかり通りましょうか?」


 パシッ!

片腕二コラのベレー帽が吹っ飛んだ。


 『何を言うておる!!我がマンディンカの軍は王のめいに従った。南米に駆け付けようとバンジュールに向かったが、そこでオランダが攻め入った。』

「えっ!?」

 『お前といい、ロドルフといい、、、全く頭を使えぬな、、』

「、、、」

 『誠であろ?現にオランダはここカザマンスの地の面前まで攻め込んで来たのだから。すぐ、手配しろ!』

「2000?」

 『そうだ。もっとおっても良いぞ。』


「しかし、敵は、、」

 『オランダがどうかしたか?』


「そのぅ、、」

 『なにをモジモジとしておる!!!』


「大型の機帆船が20艘。ざっとでありますが1万を超える兵かとぅ、、」


 『ウググ、、10000、、?』

「はい。ダカールからパルマラン、バンジュールの沖合をズラズラと。」


 『では、ロドルフの乗った船は?』

「わかりません。行方不明です、、が、ダカール沖でも我が軍の船籍2艘がやられておりますゆえ、それがもしかすると、、」


 『バカ!!それを先に言え!バンジュールの船よりそっちが先であろうが!!』

「はっ、申し訳ございません。」


 『、、しかしな。オランダはここまでは来ぬ。その大群、その数なら上陸せぬわ。』

「なぜでございましょう?」


 『火をつけろ。』

 ジルベールはブリキの葉巻ケースから、吸いかけの一本をポンと取り出した。

二コラが両手で火を点けると、ジルベールは大きく吸い込み、その近づいた顔に煙をフッと吐き出した。


 『わしは長い事、この軍を仕切っておる将軍だ。その経験。』

「それは重々。」

 『もう一度言うが、逆にその数なら上陸はせぬ。奴らの本陣は南米だ。その植民地を奪う事が使命。数百足らずのフランス兵を殺る為に、1万の兵を使ってどうする? ムダ骨のムダ使いだ。奴らは少しでもフランス兵を減らす為、南米に向かう途中ダカール沖に立ち寄って、あわよくばフランスの船でも見つければ、ドカンとやってしまおうというつもりだ。そこにたまたま運悪くロベールの船が航行しておったという事であろう。』

「なるほどであります。」

 『勿体なかろう?1万も。20艘も。南米戦に使うのが妥当。』


「なにかぁ、、ジルベール殿はオランダと我がフランス軍の南米での戦争、、他人事のような、、」


 『おい。二コラ。お前は階級は何だった?』

「は!わたくしは少佐であります!」


 『たった今。今からだ。お前の階級を2つ下げる。「中尉」だ。』

「えっ!あっ!、、」


 『カジュの酒。頼むぞ。二コラ中尉ど、の。』

ジルベールは二コラの耳に葉巻の煙を吹いた。

 『頭を使えよっ。』

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