表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
214/345

マンディンカ闘争 20~ハラとガーラ・ベリーの道

 カザマンス王国を出発したハラ率いる第二部隊75名は、村の西側、小高い山の中腹に差し掛かった。


「ハラ殿。何か足元がベタベタとして参りましたが。」

 「なんだろう?草も枯葉もベタベタと足に貼り付いてくる。」


 密林が少しひらけ、真上からの日の光が木々の隙間から木漏れんだ。

そこは見た事もない別天の地。太陽の神々しい日を受けた草の原は、薄く淡い赤紫色に染まっていた。


「、ん?なんでありましょう?この紫色の絨毯のような森は?」

 

ハラとガーラがそこかしこの高い木々を見上げた。その目の先には、もう最盛期の終わったベリーの実が細い枝葉に掴まる様に、ポツリポツリとぶら下がっていた。

「これはベリーが落ちたのだな。」

 「それで、ベタベタと。」

「凄い量だ。」


 太陽の光までを紫色に変えたベリー。その木々を、眺めながら歩いていると、ハラの足に何かが当たった。


ガサッ!

「なんだ?これ?」

 ハラが足元のくさむらを掻き分けると、そこに2つの背負籠が現れた。

その籠には完熟し、腐りかけたベリーの実がたわわと入っていた。

染み出した果樹の液が背負籠を赤紫に染めていた。


 「綺麗に染まっている。はて?この辺りだな。マンサ王妃とアフィがフランス軍を見つけたのは。」

「どういう事ですか?」

 「マンサ王妃はこの山にベリーを獲りに来てな、奴らを見つけたんだ。」

「ほう。では、これがマンサ妃とアフィのかご?」

 

 

 「それにしても、ここからフラミンガまでの川沿いを、夜通し走り切るとは、、まだ年下の女小僧と思っていたが、、、それが今や王妃だ。」

 「なるべくしてですな。」



 「この2つの背負籠、逆さまにして日の当たる所に置いておこう。乾かして、帰りに王妃のお土産として持って帰ろう。」

「きっと、喜ばれますよ。この鮮やかに赤く染まった背負籠。その為にもフランスに勝たねばなりませぬな。」

「勝って戻るのだ。たわわにベリーを積んでな!」

 「ハハッ!もうベリーは採れんでしょう?全て枯葉に埋もれておりますよ!」


ハラとガーラは、まだ枝に残ったベリーの実を口に含んだ。

「美味いなッ」

 「おいしい!」




山頂まで辿り着くと、その75の兵は山の斜面を旧のジョラの村に向け下り始めた。


 

 「ガーラ殿。見えますか?」

「ん?」

 「ほら、そこ。」


 「おー!あれはジョラのグリオ集会所!」

「というか、、すす瓦礫がれき。」

 「ニジェ殿とガーラ殿でフランス軍諸もろとも木っ端微塵にしなすった。ハハッ!」


「おっ。ハラ殿、なぜご存じで?」

 「俺とファル王は見ていたんだ。ここでな。フラミンゴの様に燃え盛る炎を。」


「そうでありましたか、、、」


 「ついでに、ディオマンシも連れて帰ったがな!ハハッ!」

「えっ!ディオマンシがなぜここに?」

 「あいつ、カジュの酒を造れるとか抜かしておって、フランス軍に連行されておったんだ!」

「全く知らんかった。」

 「命乞いして、嘘をつきよった。ハハッ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ