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マンディンカ闘争 13~怪しい・おかしい

 アランの命令によりダカールに戻された2艘の機帆船。

この部隊の中では一番の階級であったステファンが仕切った。軍曹という地位ではあったがこの軍をまとめるのは彼の他いなかった。


 彼はこの2艘の船に名を付けた。

ルーガで殉死を遂げたモルガン少尉。

大西洋の海に散ったロドルフ少佐。


つまりモルガン号とロドルフ号だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「ジョセフはおるか? 奴隷商人のジョセフは?」

船からダカールの港に降り立ったステファン軍曹は、数人の兵を引き連れて、輸出入管理の棟に繰り出した。


「ジョセフはさっき、バブエを捜しに蒸気船でゴレ島の方に出て行きましたが。」

 答えたのはこのむろのフランス管理官であった。

 

 「バブエとは?」

「このむろの管理をしておった者です。」

 「フランス人ではないな?その名前。」

「はい。ここの部族フラニの者です。」

 

 「で、捜すとは?」

「だいぶ前から行方不明で。それもセレールとフラニの奴隷狩り部隊と一緒に。」

 「では、ジョセフはここにはおらんのか、、ゴレは奴隷船以外着けれんのでな。待つしかないかっ。」

「ジョセフはいつ戻って来るかわかりませんよ。なにしろ彼の仕事場はゴレ島ですし、普段はダカールにはおりません。ただ今は奴隷の取引もないので、こちらで仕事はしておりますが、、、なにかお飲みになられますか?」


 「いや、飲み物はいらん。葉巻を一本くれ。」

ステファンは管理室の椅子に深く腰を掛け、煙を吹いた。



「あのぅ、ステファン軍曹殿。こちらからお聞きしたいのですが、ここダカールに向かわれる間、どこかで蒸気船2艘。見かけませんでしたか?」


 「いや、途中モンスーンにあってな。酷い目にあった。いたのはその嵐の直後、沖合にいたパルマランの船2艘だけ。機帆船だ。」

「そうですかぁ、、で、その船は嵐の日に何を?」

 「わからんが、俺達の船を待っていた。なにやら船に積んでいた奴隷を移せと。」

「そのパルマランの船に?」

 「そう、パルマランのアラン少尉殿がジルベール将軍からの命令だと。」


「ロドルフ少佐殿は?」

 「その嵐で海に転落した。」

「、、あれあれ!それは!それは。 しかしなぜダカールにお戻りに?」

 「次の奴隷を積む為だ。」


「次の奴隷?それでジョセフをお捜しに。」

 「そうだ。どれくらいおる?」

「何をおっしゃいます。ここにはもう一人たりともいませんよ。」

 「いない?」


「マンディンカのジルベール将軍からの命令ですわ。聞いておられませんか? だってわざわざここに奴隷を集める意味がないでありましょう? ジルベール殿が全て買取になられるなら、各地で捕獲された奴隷はダカールなんか迂回せずに直接マンディンカに連れていけばいいではありませんか。」


 「えっ!あ!、、俺達は何も聞いてはおらぬが、、」

「たぶんお亡くなりになったロドルフ殿は知っておられたと思いますが。」


 「俺はなにも知らん、、聞いてない!」


「しかし、パルマラン辺りにも直接陸路でマンディンカに向かう奴隷が沢山通過しておると思いますから、アラン?アランとかいう少尉殿も知っておるかと思いますが。」


 

 

 (はて、ダカールから奴隷狩り部隊を乗せた2艘の蒸気船が消えた。嵐の直後パルマランで2艘の機帆船が待っていた。奴隷を積み替えた。しかも足枷を外した、、してアラン殿はダカールに戻れと言った。なにかおかしい、、)


 ステファンは葉巻をくわえたまま、管理室の席を後にした。

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