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マンディンカ闘争 10~ダカール港の管理官と警備兵

  ダカールの港である。


 騒ぎが始まった。管理官バブエがいなくなった。


「ゴレの港に奴隷船が着くと言って、アコカンテラを持ち出したまま戻って来ない。」


バブエのむろで一緒に働いていた2人のフランス管理官が、首をひねった。

 

「オランダとの闘いで、食糧を出荷しなければならないこんな忙しい時にどこへ行ったんだ?」


コンコン!

 「誰だ?」

奴隷商人ジョセフのもと、通訳として働いていた男が管理室のドアをノックした。



「やはりおかしいです!ここから蒸気船2艘を借り出したバブエとセレールの奴隷狩り部隊。ゴレに向かったというのは、、嘘です!」

 

 「なぜわかる?」

「なぜって、あの日ゴレ島には奴隷船など来ていません!それどころか奴隷船は1艘足りともゴレには立ち寄らず、フランスから大西洋をそのまま、南米に向かっておるそうです! 食糧を積むのは、ここダカールからの船のみ!」

 「はぁ!?では奴らはどこへ?」

「しかも、この辺りに常に待機しておりましたセレール、それからフラニの部隊、すべて消えてます!」


 「おかしい、、」


「ジョセフ殿も慌てふためいております!! むろに閉じ込めていたはずのカザマンスの夫婦、それと青年も1人、、、いなくなっていると! 大事に別な船に乗せると言っていたのですが。」


 


 「あの日、アコカンテラをゴレに持ち出すと言って、日の沈んだ後にあのむろに入ったのはバブエだけだ。誰か見た者はおらんのか?」


「あなた達管理官こそ知らないのですか?」

 「あ、ああ、俺達はあの日、バブエに任せて、、そのぅ、、早く上がって露店に夕飯を食べに、、」


「は?食事に?では港の警備兵は見てないですかね?」


 「お、お、おう、。見ておるかもしれん。あの日の夜の警備についておった兵に聞いてみる。」


ーーーーーーーーーーーーーー


 2人の管理官はその日警備についていた2人の兵を、むろの2階に呼んだ。

 

 「お前ら、あの夜。バブエを見たか?」

「いつ?」

 「バスチアが奴隷を連れて出航する二日前。」


警備についていた2人は、すぐに思い出した。

「あ~はいはい。バブエと、、かなりの数のセレール達が荷車2台で。木箱を船に積み込むとかで。」

「そうそう。ゴレに奴隷船が入港したので、急いでアコカンテラを運びこむとか。」


 「それは誠にアコカンテラであったか?」

「はい。間違いなく。」

 「2箱とも?」

「いえ、一つは見ましたが、もう一つはアコカンテラが熟し切っておったらしく、木箱にその液が滲み出ておりましたので。」


 「1箱は見てはおらんと。」

「はい、、」

 「その後お前らは?」

「なにぶん、お腹が空いておりましたので、、勤務中ではありましたが、、露店に夕飯を食べに、、」

 「向かった先まで見てはおらないと。」



「あっ!!そういえば!管理官殿!あの夜!ばったりマフェの店で会って一緒に夕飯を食べたではありませんか!」

 「あっ!」

管理官は下を向いた。


「仕事は適当だ!バブエに任せてポイポイっと!って!」

 「お前らも言っておったじゃないか!監視してたって、どうせな~んもありはせんと!」


「その日だ、、」

※新年あけましておめでとうございます。

本年もご贔屓に、宜しくお願いを致します!

  

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