マンディンカ闘争 7~鬼畜ジルベール
「ん?アラン殿。あなたは何をしようと?」
「ロドルフと共謀だ。反乱。」
「ジルベールに?」
サバは聞いた。
「そういう事だ。ジルベールが王の命で動けば、バンジュールの港からダカールに向かう。マンディンカからそこまで、必ず兵はバラつく。そこをやっちまおうとな。」
「ほ~う。それではアラン殿も王の命に背く事になるではないですか?」
「そこは、大丈夫だ。ジルベールはフィリップ王に背き、マンディンカで自分の国を造ろうとしているんだ。南米に出向く前に奴を抑えなければならないのは道理であろう?」
「ふふっ、なるほどっ。正義はこちらにと言う事ですね。」
「しかしロドルフは急ぐと言って、慌ててダカールに向かった。話をしておる時間も、他の兵に内密にする為の場所もなかった。だから俺はこの船でロドルフが戻るのを待っておった。俺の可愛い部下と共に。あの9人は俺と考えを一つにする者達だ。これからの戦闘を考えると、、、ひと時のバカンスだ。」
「バカンス、、やっぱり。」
「ところが、短パンで寛いでおった俺達は捕まった。嵐と共にお前らに!ハハッ!」
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「ジルベール殿。どういたしましょう?」
『何を言っておる、二コラ。わしらカザマンス部隊はマンディンカに残る。一歩も出ぬ。カジュの酒を手に出来るのも寸分の先。』
「しかしそれでは、フィリップ王に背く事に、、」
『ここに国を造れば、わしも一国の主。フランスは他国だ。フィリップ王の命なぞ聞かぬて良い。』
「えっ、、、」
『マンディンカにおる兵。わしに従わぬ者。皆殺せ。あるいは黒い奴らと一緒に奴隷だ。』
「あっ、、あっ、お、お、お言葉を返す様でありますが、ここには男の兵しかおりません。いかにして国家を?その後の繁栄を?」
『、、奴隷がいるであろう? 運ばれて来る奴隷に。女どもが。ハハッ!』
「、、、(鬼畜だ。あさはか、、)」
『さっきのパルマランの兵、リュカとか言ったな。殺せ。』
「はっ?殺す?殺すとは?」
『良いか。この書。わしは見ておらぬ。知らん。兵なぞどこからも来なかった。そういう事だ。』
ジルベールは当たり前の様に淡々と口にした。
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「お前達の為ではないぞ。俺のジルベールに対する恨みだ、、協力してやるよ。」
アランはサバの顔を見、確かめるようにバブエの顔を見た。
バブエは少し、首を傾けた。
「疑うのか?」
「いや、そういうわけではないが、、」
「では、こうしよう。今縛られている9人の捕虜。縄を解いてくれ。奴らは俺の命でしか動かん。ならば俺の縄と足枷の鉄球。解かぬて良い。俺を動かぬ様にして俺の部下を使え。俺が縛られている限り兵は捕虜同然。お前らの赴くままに使えば良い。俺は口は出しても、手足は出せぬ。」
「、、わかりました。本気ですね。アラン殿。」
「本気だがお前らの為だけではないぞ。この縛られた9人の兵の為、それと奴への恨みだ。」