マンディンカ闘争 2~混血・ジョラとマンディンカの秘密
『サバ様。お聞きしたい事が色々とございまして。これから我が部隊はあなた様が王子で在られましたマンディンカへと向かいます。道や地形、風土などわからない事だらけ。それらも味方につけねばなりません。』
「なるほど。では話そう。マンディンカは北はカンビヤ川、南にはカザマンス川が流れているが、それらはマンディンカからはかなりの距離。多少の恩恵は受けていたが、全くの乾燥地。」
『なぜそんな土地に?』
「マンディンカの民は元々マリ帝国の子孫。逃げ延びて来た地というわけだ。川の流域は他の部族に占領されてしまっていたしな。昔からあった王国とは真っ平嘘。まっ落人の村だ。」
『して、マンディンカを追い詰めたという部族達は今どこに?』
「それが、、ジョラだ。ジョラ族だ。」
『ほう、なるほど。しかし今やカザマンスで名の通る部族といえばマンディンカ。ジョラは密林の少数部族に成り下がっている、、この逆転劇はいかにして?』
「聞きたいか?バブエ殿。」
『無論。』
「そんなに遠くない話だ。私の父上だ。」
『バル様でございますね。』
「マンディンカを追い詰めたのはジョラ。その逃げたマンディンカ族を統率しようとジョラの王族から送り込まれた若き青年、、それがバルだ。」
『ん?と言いますと、、バル王はマンディンカ人ではなくジョラ族のお人? という事は、、サバ様はジョラ人?』
「ん~、まあそんなもんだ。」
『では、今あるジョラの村。その王は?』
「その王はディオマンシ。」
『ディオマンシ?』
「バル王の兄だ。」
『兄? しかしその先、マンディンカは3000人を超す大所帯の村に。ジュラは数百と聞いておりますが。』
「父上バル王は、自分とは違う部族の首長に祀り上げられた事をやっかんでいた。兄ディオマンシのジョラの村よりデカくしてやろうとな。しかしバルは元々が優しい性格でな。民の話もよく聞き、人望も厚かった。 ディオマンシともな。グリオを派遣させておったし、子が絶えるとあらば子をな。他所の国からの品もお裾分けの様に遣使に持たせてジョラの地に献上させていた。ディオマンシの倉がパンパンになるくらい頻繁にやり取りをしていた。まっ、ディオマンシはマンディンカ人が大嫌いだったようだが。ハハッ! 兄弟のなせる業。ふつうは違う血の部族。こんなに行き来は出来ん。」
『、、、ただ聞くところによりますと、人の2倍もの高さの土塀の城壁。バオバブの木で宮殿は覆われていたとか。』
「軍兵も取り囲んでいた。」
『その、人の良い王がなぜそんな砦の様な宮殿を?』
「バブエ殿たるもの、わかりませぬか?ハハッ!」
『、、、』
「いかに温和な王であれ、周りはマンディンカ人。そうせねばならぬ理由がわかろ?」
『追い詰められ、ジョラに屈したマンディンカ人がいつぞや反乱を起こすかわからないという事でございますか、、』
「そうだ。だから取り巻き連中にはしばらくはジョラの者を使っていた。遣使にもアクラというジョラ人をな。」
『遣使に他の部族の者は使えぬというわけですね。他国との情報の源。裏切られたら元も子もない。』
「28人もの妻を抱えていたのもその地に血族を滲み込ませる為だ。」
『では、サバ様はジョラ人というよりも混血の王子?』
「そう。私の体にはマンディンカ族の血とジョラ族の血が入っておるよ。2つの部族の初めての交流の体。」
『初めて。第1子という事ですね。』
お読み頂きありがとうございます!
Happy‼Christmas‼