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奴隷の行方 47~ガーラの血

「ほら。お昼だ。ディオマンシ、ガーラ殿。餌を持って参ったぞ。」


「ん?ムル。なんだ?これは?えらく豪勢ではないか。我ら囚人にこんな物を与えてよいのか?ハハッ!」

 ディオマンシは大喜びで笑った。

 

 「持ち切れぬでな。ハラとドルンにも餌やりをお願いした。ほれ、ドッサリと。鳥のお肉とヤギの肉だ。ハラ、ドルン、マンディンカの囚人兵にも放り投げぃ。」



「して、今日は何の日であったか? 祭りは過ぎおったし、、」

ディオマンシがムルに聞いた。

 

 「今日はな。大変めでたい日じゃ。ジョラとフラミンガが一緒になったのじゃ。」

「は?一緒? 一族になったと言うことか?」

 「そうじゃ。」


「おい!ムル!何をワシの許可なく勝手にやっておる!」

 「ハハハ!お前の許可なぞもういらんわい!!」

「、、、」

 「ほれ!食え!ガーラ殿も。他の皆んなも。」



「しかし、なぜ一緒にならねばならん。意味がないであろう?」

 ムシャムシャ


 「わけがあるのじゃ。ファル王様は、、フランス軍に打って出るのじゃ。」

「ハハハッ!たわけ!あのフランス軍に立ち向かおうなぞ、気が知れん!勝てるわ~けがない!」

 

 「それはわからぬ。ファル王様は疫病という工作を使い、フランス軍を追いやった。して、ニジェ王様は真正面からぶつかり奴らを焼き討ちにした。可能性は0ではないのう。なっ、ガーラ殿。あなたはその先鋒においでなすった。ニジェ様を一番ご存じのはず。」



 『はい。確かに。』

その会話を聞いていたガーラは打ち震えた。肩がわなわなと揺れ出した。

褐色の肌が赤く染まるのがムルの目にも手に取る様にわかった。


『して、ムル殿。それは誠か?』

 

 「嘘を申して何になる。これが紛争になるのか、和平に持ち込むのか、わしにはわからんが。奴らはまたきっと攻めて来よる。それを待っていつまでもビクビクしておる様なら、こちらから打って出ようというファル王様のお考えじゃ。それにぃ、、ディオマンシよ。お前、ンバイとマリマを殺してはおらぬと言ったのう?ファル王様はきっと助け出したいんじゃろう。生きておればの話だが。して、ガーラ殿も見てはおらぬのであろう? そのお慕いしておったサバという王子が殺されておるところなぞ。」



『ムル殿、、、差し出がましいが、ファル様にお願いを申し上げこの檻から出してもらえぬか。存分に、頭をこすりつけてでも謝りたい。そして、、ご一緒にフランスの征伐に、、ご協力差し上げたい。』

 ガーラは護衛官としての血が沸き上がった。

自分とこのマンディンカの部隊をジョラの王に差し出したいと思った。


 「ガーラ殿。それはお門違いじゃ。詫びを入れるならファル様ではなくまず、フラミンガの娘ナシャであろう?違うか?」

『、、左様でありました。』

ガーラはムルの面前にひざまずき、深々と頭を下げた。


 「ナシャはもう、この村に入っておる。ハラ!ドルン!お連れして!」


「大丈夫でありましょうか?」

ハラはムルに尋ねた。


 「この目は本物じゃ。霊媒師のワシが言うんじゃ。間違いない。」


「お、お、わしは?」

「ん?ディオマンシ。お前はまだ檻の中じゃ! 反省の顔色ではないわ!ハハハッ!」


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