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奴隷の行方 44~意を汲むバブエ・復讐のサバ

 バブエはむろの管理室でフランス人管理官達と談笑していた。

『あっ、そうだ!今夜ゴレ島に、奴隷船が急遽の到着らしいです。南米での

オランダとのいくさの前にここで下したい物があるとかで。』


 「聞いとらんが?」

『すみません。私がお伝え忘れそのままになっておりました。しかし私がゴレ島まで引き取りに行きますのでご安心を。』

 「まあ良い。お前の責任に置いてやるのなら。」

『で~、蒸気船を2艘ほどお借りしたいのですが?』

 

 「まっ、荷物があるなら仕方ないわな。好きにしな。そんな事より腹が空いたな。一杯行くかい?」

フランス管理官達は夕方の露店に繰り出した。

ーーーーーーーーーーーー



『ブラル。蒸気船を2艘借りた。今夜ダカール港の堤の端に着けてくれ。』


ーーーーーーーーーーーー


 フランスから戻った夫婦ンバイとマリマ、やせ細ったマンディンカ王子のサバ。

3人は収まり切れない奴隷仮置き場と、尻に刻印が無い事を理由にバブエの食糧倉庫に収まった。


それは管理官バブエが、置き場に困ったフランス軍に自ら手を上げ貸し出した事によるものであった。  


「ほら!入れ!アコカンテラのむろだ!触るなよ!一発で死ぬぞ!ハハッ!ロドルフ殿からマンディンカに戻る命令が出るまでの辛抱だ!」

 そう言うとここまで送り届けたフランス兵5人はすぐに立ち去った。

「露店で一杯呑もうや!腹も空いたしな!」



彼らフランス兵が立ち去った夜の事だ。バブエが食糧庫の鍵を開けた。


『おい。いるかい?』

中の3人は身を屈め怯えた素振りであったが、すぐに気づいた。純粋なこの土地の言葉。


『バブエという。フラニ族の者だ。ここの輸出入管理官をしている。』

 「、、なにか?」

ンバイがちからない声で言った。


『あのな、サール殿が言っておった。あなた達3人は間違いなく身分が高いと。きっと役に立つ人間だと。』


 「、、そう申されてもぉ、、もう奴隷の身。身分など聞いて何になります?」

マリマが言った。


『あなた達夫婦はグリオであろう?サール殿からお聞きした。神の使い手。 で、若いの。あなたは何者? 正直に言ってみなさい。サール殿は3人をカザマンスに返したいと言っておったんだ。その意を汲んで私があなた達を連れてマンディンカに戻したい。他の奴隷達と一緒では訳のわからぬ様になる。なにぶん焼き刻印も無し。ゆえに刻印番号がない。奴隷を連れ出したという証拠も何も残らない。これもサール殿の置き土産。』


 「、、意を汲むとは?」

青年は言った。


『サール殿はフランス軍警察にゴレ島で撃たれた。亡くなったんだ、、私達はあなた達を連れ戻しながらその復讐をする。一番の精鋭部隊ジルベール軍と。』


「フランス軍と戦うと言うんですか?」

マリマがそう言うと青年が言葉を被せた。

 

 「面白い。騙されてもいい。やってみようじゃないか!!どうせ奴隷の身。明日死ぬかもわからない。しかも、バブエ殿。俺はあなた以上の恨みを持っている。奴らフランスには!」


『御身分を?』


「マンディンカ王バルの第一子。サバだ!」






『よろしいかな?今からここを出て船に乗る。』

「また?」






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