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奴隷の行方 44~団結の虹色石

「しかしながら、ファル様。我れらはフラミンガとはいえ、元はマンディンカ人。簡単にジョラと一つになれるかは疑問であります。フランス軍から逃げ延びて来た少人数としての不安はございますが、、それにあのような裏切る者、我が部族を矢で突く様な者まで現れ、、」


 『わかっておるよ。そんなに深く考えんでも良い。なぜなら遠く東のマリ帝国にせよ、西のカサ王国にせよ皆、多種多様の民族の集まりであった。入り乱れて一つの国家を形成しておったのだ。言葉や習慣は違いがあるからこそ面白い。お互いに補えるのだ。』


「なるほど。」


 『それが例えスンニ族であろうがセレール族であろうが、、、ドンゴであろうがな。』

それはファルにとってもニジェにとっても助け舟でもあった。

混在する部族であるならば、その上に立つ者はどの部族の出身でも構わないのだ。

この部族の王がマンディンカ人であろうが、ドンゴ人であろうが。


 『それに。フランス軍は必ずやって来る。こちらが穏やかに暮らすつもりでいても、何もしなくても我が部族を捕らえに来る。備えは必要。二つの部族がバラバラになっておっては簡単に打ちのめされる。』


「確かに。」


 『それともう一つ。フランスに捕まったカザマンスの民は苦しい奴隷の身ながら、まだまだ各地に生きておる。オレの父上も母上もその中の人間かも知れん。ここでぬくぬくとしている訳にはいかんのだ。』


「ファル様、だいぶお考えが変わったかのようにお見受け致しますが、、」


 『知った以上は助け出さんといかんのだ。』


「えっ!もしやっ!ファル様のお父上とお母上様は生きておいでになる?」


 『それはわからんが、オレだけではないはず。同じ思いをしている者は誰も同じ。』


「、、、それはカザマンスの地を取り返すという事でありましょうか?」


 『西へ西へと進む。フランスからこのカザマンスの地を奪い返しながら。終着は、、』


「終着は、、もしやダカール?」


 『ダカール解放だ。』



ファルは腰蓑をポンと叩くと、中から何やらゴソゴソと取り出した。

 『ニジェ様。これを。 巡ってこの手の中に収まりました。』


「あっ!虹色石っ!!」


 『ニジェ様の石を手に致しました。これはやはり一つに!という事でありましょう。』


ニジェはニコと笑った。

「わかりました。フラミンガの民、必ずや説得致しましょう。」


 『この石の名のもとに団結を。』


「一つになったあかつきには?」


 『カザマンス王国とでも、、』


  「ガッテン!!」



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