奴隷の行方 32~ロドルフ!頭を使え!
「我がジルベール軍は600余。このままでは、このカザマンスの開拓、すでに地ならしは済みましたが新たな建物、道の補正など人数が不足。フランスより更なる補充兵が必要になるかと。」
ジルベールの片腕ロドルフ少佐は提言した。
『わかっておるわ!しかしだ!その前に!何故こうもわけのわからない黒い部族にやられるのだ!バスチアやモルガンはしかり。一発の銃弾も使ってはおらん。武器は全て奪い取られるわ、兵ごと焼かれ、兵ごと砂の穴に埋もれ、、何を油断し、彼の地に向かったのだ!しかもそれらの敵が何という部族かさえはっきりしとらん!』
「それを今、調べておる所でございまして、、。」
ジルベールは椅子から立ち上がると、ロドルフの顎を人差し指で摩りながら言った。
『ほ~う?調べておる? 焼き討ちしたのはジョラか?マンディンカか? ルーガで殺られたのはセレールか?』
「ですから、それを、、」
『お前、さっき外で気持ちよさそ~うに葉巻をふかしておったのう? そんなことをしている暇があったらサッサとお前が動かんか!』
「はっ!しかしながら、、」
『しかし?なんだ?言ってみろ。』
「今、ここには600の兵しかおらず、わたくしの部隊が動きますと、そのぅ人数があ、、」
『バカ!!部隊を動かせなどとは言ってはおらん!動けと言うのは頭を使えという意味だ!』
ジルベールは自分の掛けていた椅子を踵で蹴り上げた。
『それからな。600の兵。これ以上は補充せん。本国になんて言い訳をするのだ? 300の兵はどうしたかと聞かれるだけだ!「皆、部族や奴隷に殺されました」とでも言うのか!!ジルベールの面子。丸つぶれだのう!』
「、、、」
『では、どうするか? 今この地マンディンカで開拓に駆り出ておるフランス兵。数人残して皆、軍の部隊に召集しろ。』
「それでは、この地を切り開く人数が不足。」
『そこでだ。ダカール港に引きずられておる奴隷。カザマンスからの奴隷だけではないぞ。あちこちから集められた奴隷。どんな部族でもよいわ。ゴレ島のエストレー収容所に向かわせる前に我が軍で買い取るのだ。連れ戻してそれをこの地の開拓に使う。』
「なるほど!」
『そうすれば、600の兵は確実に全員攻撃部隊として使える。』
「さすがはジルベール閣下!」
『だから、頭を使えと言っておるであろう。呆れてものが言えん!』




