表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
164/345

奴隷の行方 28~原種バラと2人の奴隷

 『?? こら!お前ら!嘘をつくでない!! ンバイとマリマであろう!!真面目に答えろ!!』



「いえ、確かにバーコとマヌだと。」

マルタンは2人の言葉を介した。

 

 バンジャマンは確かめる様に、2人の目玉を交互にパパと見た。


 丸刈り頭の2人。黒褐色の肌。白人のバンジャマンにとって、アフリカ人種の顔は容易には判別出来なかった。 ましてや年恰好や背格好まで同じとなれば尚更らだ。

 

 更にであった。マンディンカから連れて来た2人の顔を見たのは、エストレーの2階。サールとの契約の数分。顔など全く覚えがなかった。



 『ううむ、、しかし、お前らはマンディンカの者であろう?!カジュを知っておろう?カジュの酒だ!』

バンジャマンはいら立った。



「いえ、フラニ族だと申しておりますが、、しかも、カジュの酒など一度も聞いた事がないと。」

マルタンは介した。


 『フ、フ、フラニだとぅ!

はかりおったな、、サール!』



 『では、アラン!この木を見てくれ!この木さえあれば、、、お前がおればなんとかなるであろう!』

バンジャマンは、まだ荷車に乗せたままだった木箱を指差した。


 そのふたくいをマルタンにポン!と抜かせると、閉じ込められていたポルンのつるがビックリ箱さながらに、わんさと飛び出した。



「おや?これは、原種のバラですな。フランスでは改良されて、ラフランスと呼ばれておるものです。ラフランス誕生以前のものを原種バラといっております。綺麗な淡いピンク色の花を咲かせ、とげは少ないつる状の木。この付近にもたくさん生えておりますよ。これをどうしろと?」


 『はっ?ピンクの花?実は付くのか?青い、、青い実だ!』

「実などありませんよ。しかも青だなんて。ハハッ!」


 『これは、カジュではないのか?!』

「カジュ? さっきからカジュ、カジュと。なんですか?それは?」


 『いや、これでだな、、あのぅ、、水色の酒を、、』


「バンジャマン殿。冗談を言ってる場合ではないよ。これはバラ。しかも実がつかない細いつる。どうやって酒を造るんですか? こちらが教えて欲しいわ。ハハッ!」


 バンジャマンは頭を抱えて膝まづき、燕尾えんびの裾を泥に浸けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] バンジャマン、サールに騙されたのがわかりましたね。 アランとの会話が、バンジャマンはあたふたしているのにアランがのほほんとしている感じがおもしろいです。 バンジャマンは、この後どうするのか?…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ