奴隷の行方 14~ダカール港を空らにしろ!
「モルガン少尉殿!ダカールにおったセレール族の奴隷狩猟部隊。一人もおらぬそうであります!」
「なんだと、、あのヤッサ売りと関係がありそうだな。ルーガに向かったのか、、しかしあの町に何があるというのだ?カジュと因果があるのか、、」
モルガンはカザマンス連行部隊に命じた。
「全軍でルーガに向かう!奴隷の分際でフランスを舐め腐り、拳を上げた奴ら! 容赦はしない! 他のセレールも何か企んでいる一味であろう!見つけ出したら即射殺だ!奴らに頼らんでも俺達で奴隷など、片っ端から狩れる!必要ない!殺す!向かうぞ!ルーガに!」
カジュの酒を知っているのはカザマンスの部隊だけであった。それはジルベール将軍の宝の情報。同じフランス軍といえど他の部隊には内密のものであった。それゆえ、この奴隷連行部隊がルーガに向かう事をジルベールは承諾したのである。
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この季節のルーガは熱波だ。オレンジの細かな土が町を覆っていた。雲が無くても青空は見えない。舞っているのは赤土の砂埃だ。
藁葺きのとんがり屋根。それを四点で支える木柱。囲うのは簾の様な生垣だ。そんな枯れた家々が点在する町ルーガ。住民は全て奴隷として捕らわれ、人の気配どころか生き物の呼吸さえ存在しない廃墟と化していた。
『ここです。』
「本当にあるのか?こんな錆びれた町に。」
バンジャマンはバブエに尋ねた。
『そこかしこに。』
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セレールの奴隷狩り部隊を50人ほど引き連れたサールは、バンジャマンに遅れを取りながらもルーガに向かっていた。
「おい、絨毯売りの爺にいくらやった?」
サールがヤッサ売りの二人に聞いた。
「ほんのわずか。しかしあの爺片足でピョンピョンと飛び上がって喜んでおりました。」
「ハハッ!うまくやってくれれば、カザマンスの兵は必ずやルーガに足を向けて来る。」
「さすれば?」
「ダカールにおるカザマンス兵は、一人もおらん様になる。ダカールに敵は無し!空っぽだ。さすれば事がスイスイ運ぶでな。ハハッ!念には念だ。」
「なるほど。」
「カジュ。いやポルンの木なぞ、根っこごと引き抜いて束ねるだけだ。これだけの人数。一日で片付け船に乗せい! 奴らが来る前に、取って折り返すぞ!奴らは陸路。俺達の帰りは海路だ!出くわす事もない。奴らがルーガの町中を捜しまわっておる頃には、ケジャワイの浜辺りまで行きついておるであろう!」




