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奴隷の行方 13~消えたヤッサ売り

 白と灰色の石畳であったが、それはとうに茶色く薄汚れ、杜撰ずさんがれていた。欠けた石は土粉となって風に舞い、そのほこりを上げていた。露店街の舗道である。


 白昼の事である。軍靴をガツガツと鳴らし、カザマンスの部隊30人ほどが露店街に殺気の息を吹き込んだ。澄んだ青空の下には更なる土埃つちぼこりが舞い上がった。


 「おい!ここの者はぁ!?昨夜ヤッサを商いにしておった奴らだ!」

露店商達はおののいた。


 「昨夜までおったであろう!!」


そばにいた片足の老人の首根っこを掴んだのは、この部隊の少尉モルガンであった。


「痛てて。いやいやワシはただの絨毯じゅうたん売り。何も知らん。放してくれ!」


 「ここに居た奴らはどこに行ったと聞いておるんじゃ!!俺の部下に昨夜拳を上げた奴らじゃ!」


「あ、、ここのヤッサ売りの二人は昨夜遅く店を畳んで出て行きよりました。」


 「出て行った? 店を閉めたというのか?」


「はい。こんなチマチマとした銭儲けはコリゴリだと、、大儲け出来る仕事が見つかったとかで。」


 「大儲け? 俺達はお前らに大儲けなどさせぬぞ!」

「おっしゃる通りでございます。ワシらはフランス兵の皆様方の為だけに、ここで働かせて頂いておるのでございますから。」


 「逃げよったな、、どこへ行くと言っておった?」


「故郷へ帰るとだけ。」

 「奴らは何族だ?」

「確かセレールかと。」


 「セレール? セレールといえばルーガだ。あそこにおる者はここダカールで商売を許可した者以外皆、南米送りにしたはずだ。すでにもぬけの町。誰もおらぬはず。我が軍も撤退しておる町だ。」


「他に何も言っておらんかったか?!」


 「はい。他には何も。」



(して、大儲け? 奴らが俺の部下を脅したのは、、、我が軍の情報ではなく、ジョラの情報を知りたかったのか?「なぜ奴隷の中にジョラがいない」と聞いたのも、ジョラを捜していたのか? カジュか、、) 


 「本当にルーガにゆくと?」

「はいはい。ルーガでございましょう。奴らの故郷はそこしかございませんから。では、そろそろその手を放して頂いてもよろしいでしょうか?首が曲がってしまう。」

『カザマンスThe・THIRD』

※ここまでの登場人物(THIRD内のみ)


奴隷商人

 サール...ゴレ島に駐在する西アフリカ、セレール族の奴隷商人

バンジャマン...フランス人奴隷商人


バブエ...ダカール港駐在の西アフリカ、フラニ族出身の輸出管理官(この地方の植物に博識のある彼は奴隷を免れこの役職につく)


サバ・・・ゴレ島に連行された奴隷(カジュについて詳しい) 


ジョラ族

 ファル...ジョラ族の若き王

 マンサ...ジョラ族の王妃


 シオンとマセラ...ファルにカジュの造り方を教えた初老の夫婦


フランス軍

 ジルベール...カザマンス地方を統率する将軍

 ロドルフ少佐...ジルベールの右腕の


 モルガン少尉...奴隷連行部隊長(マンディンカとダカールを行き来)


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― 新着の感想 ―
[一言] ホントに故郷に帰ったんですね。 故郷に帰って大儲けするとは?カジュに関係はしてるよね。 ジョラは大丈夫かな? 心配になってきました。
[一言] フランス兵を殴って、そのままって事は無いと思ったけど、逃げたんだね。ホントに故郷に帰ったとは思えないし、また疑問が増えました。 露店街の石畳の昼間のさびれた感じがすごく良く出ていました。 雰…
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