フラミンガ紛争 18~グッバイ!ニジェ[カザマンス・SECOND]完
『おや?もう出来たのかい?』
「はい、ニジェ様を一日も早く檻からお出ししてあげたく。コリ達と皆で。」
マンサは宮殿の床に帆を広げた。
『おー!見事なフラミンガ色!』
「マローペのお花で染めましたのよ。丁度季節も良く、たわわに咲いておりましたゆえ。」
『これなら遠くからでもニジェ様が戻って来た事がフラミンガの民にわかろうぞ!』
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「おい!ニジェ!出ろ!」
ハラが檻の前に立った。
「なんだぁ!!小奴だけ釈放か!?」
ディオマンシが檻の格子を両手で掴んで怒鳴った。
「釈放ではない。島流しだ。」
「島流しだとぅ!この辺りに島なぞないわ!ましてや海すらないではないか!どこへ連れて行くぅ?!」
「ファル様がおっしゃるにはセントヘレナとか、、」
ハラはディオマンシと目を合わさず笑った。
「たわけ!馬鹿らしい!!ふざけるな!!」
ディオマンシは唾を吐き散らし怒鳴り続けた。
しかしガーラは一言も発せず背中を向けたままであった。
「出ろ!ニジェ。」
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用意された船はジョラの民によって赤い年輪が浮き彫りになる程綺麗に磨かれていた。
「乗れ!」
両手を繋がれたままのニジェにハラが言った。
「わかっておろうが、船が出航したら自分で解け。簡単に解ける。」
ニジェはコクリと頷いた。
「では、お元気で。」
「ああ、ハラもな。」
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『ファル様。ニジェ様がお帰りになられますわよ。そろそろお支度を。』
『オレは罪人は見送らん。』
『あらまあ、わたくしは見送って参りますわよ。』
『好きにせい。』
マンサが表に出ると、ファルはいそいそと物見の部屋に向かった。
その小窓からは凛と並び立つブビンガの木々の隙間から、フラミンガ色の帆が見えた。
帆は西風にユラユラと、はためいていた。
(良い風だ。ニジェ王、また会える日までどうかご無事で。)
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「ジルベール閣下!」
ロドルフが大声で叫びながら司令室をノックした。
フランス軍は未だマンディンカの地に駐留していた。
『なんだ?入れ。』
「失礼いたします!」
『どうした?』
「奴隷の中に、カジュの酒を造れる者がおりました!」
『なにぃ!』
「数年前にジョラから移り住んで来ていたらしい夫婦であります!」
このページを持ちまして【カザマンス・SECOND】完結です。
ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。感謝!感謝であります!
これより【カザマンス・THIRD】として引き続き連載致します。
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