フラミンガ紛争 14~ファルとニジェ
『ドルン!戻って!フラミンガの民に伝えてくれ!ニジェは無事だと!』
「ヘイヘイヘーイ!ガッテ~ン!」
ついて来たフラミンガの兵10もそれを確認すると、後をジョラの兵に任せその場を引き返した。
「ファル様、この先はお任せいたします。」
『お前らは戻って、早く民を安心させてあげ~!』
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ニジェが閉じ込められた弾薬の小屋は、ジョラの村近くの河岸まで運ばれ浅瀬にガツンと乗り上げた。
ファル達はそこで葦吹きの屋根に梯子(梯子)をかけニジェを救出した。
「なんかぁ、、戻って来ちゃったよぅ。」
『ハハッ!お前はこうなる運命だったのだよ。』
「仕方ない、この小屋の火薬と銃剣はフラミンガからの手土産として受け取ってくれ。お礼だ。ジョラで使ってくれ。こんな物があるから争いが起きる。くれてやる! 但し、これはフランス軍のレノー殿からの頂き物だ。大事に使え。小屋の中までは浸水しておらぬから大丈夫だと思うが。」
『ん?我らジョラにも争いを起こせというのか?、、しかし勿体無い。ありがたく頂く。ハハッ!』
「争いが起きても責任はとらん。」
『しかしお前。勝手にそんな事してフラミンガの民が許さないであろ?』
「お忘れかな? 俺はフラミンガの王なのだぞ。」
『おっ!そうであった。それではニジェ様。ありがたく頂戴いたします。』
フラミンガの村にいたジョラも、ブビンガの丸太に二人乗り三人乗りして明け方には戻って来た。
繋がれたガーラと20の兵も瓦礫の船に乗せられジョラの村に到着した。
これは、ハラの判断であった。
フラミンガの村に置いておくのは危険だと考えたのだ。ジョラにはディオマンシをぶち込んだ檻がある。
一緒に詰め込んで、ジョラで監視すれば良いと思ったからだ。
ファルとニジェはそれを川の畔で迎い入れた。
夜露が滴るそこかしこのシダの葉は、東から昇った太陽に深い緑色で応えていた。
『おい、マンサ。その背負籠はなんだ?』
マンサは川べりに籠を下ろすと、ファルに中身を見せた。
『ん?なんだ?ムクロジ?、、こんなにたくさん?』
「女衆には必要な物。皆、喜びますわよ!コリ達もね!ほら、背負って来た。」
『マンサ、ちょっと聞いていい?』
「なにをです?」
『お前、「私もニジェを助けに行く」って言ったのは、これが目的ではなかったのか?』
「ハハッ!何をおっしゃいます!、、、ちょっとだけね。」
マンサはファルにウインクをして答えた。
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ファルはニジェをフラミンガの王として三顧の礼で宮殿に招いた。
そのニジェはファルがジョラの王となっている事を知らなかった。
『フラミンガの王。ニジェ王殿。ここからは王同士。今回のこの一件につき、これからの両部族の取り決め、二国間の地の領域。全てをここでお話させて頂きたい。』
「わかりました。ファル王にはこの度の件。わたくしの不徳と致す所、先にお詫び申し上げたい。」
二人の間にはもはや背負う民があり、木登りや虫取りをしてじゃれ合ったのは遠い過去の事となってしまっていた。




