フラミンガ紛争 11~仮面楚歌
ハラとドルンと20の兵は、立ちはだかる木々を左右に避けながら鬱蒼と茂る草を掻き分け、ガーラ達を追った。
しかし、条件は彼らも同じ。足は草木の棘や枝で血だらけだ。
ジョラ軍はジャンベを打ち鳴らす者あり、弓で威嚇しながら追いかける者あり。
『これは祭りだ!ニジェを救う為の大祭りだぁ!』
ジョラの兵からは誰彼なく声がかかった。
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「ガーラ殿! どこに向かいましょう!?!」
「沼だ!沼に行くぞ!沼の反対側に回れ!回り込め!さすれば沼を砦に対峙できるぞ!」
ガーラは走りながら兵に指示した。
「奴らは20余り!対峙できれば勝負有りだ! そこで態勢を整える! 走れ!走れ!」
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『沼だ!沼に追い込め! 追い詰めろ~!』
ハラとドルンは兵に声をかけ走り続けた。
ジョラもマンディンカも考えは違え、同じ方角に勝機を見出していた。
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林が開けた。
ガーラ達の目の前に橙色と紫が交錯した水辺が顔を出した。
「よし!ここを回り込め!回り込んだら奴らに弓を構えろ!! 奴らが林から顔を出したら放つんだ!!」
マンディンカの兵は追手が来ぬ内にと沼の畔を反対側にと回り込んだ。逃げ道も確保できた。
マンディンカ兵の矢は天を向いた。
ジャンベの音が木々に木霊した。
葉がザワザワと揺れ出した。
「来るぞ!かまえろ~!」
ドドドドン♪ ドドドン♪
『ひゃほ~い!!』
しかしそれはガーラ達の背後からであった。
『はい!そこまでだっ!!』
ガーラが振り向くと、そこには仮面を被った仰々しくも絢爛な衣装を纏った30余の兵が矢を向けて身構えていた。
「うぐ。誰じゃ!」
『万事休すだな!
ハハハッ!ジョラの王! ファル・ンバイ・ラビエだ!!』
ファルはそのモロコシの仮面を外した。
「ウッ」
『先回りしてお待ちいたしておりましたよ!ガーラ殿っ!』
すると追って来たハラ率いる20の兵が沼の反対側にジャンベを打ち鳴らし現れた。
「まずい!挟まれた!右だ!右に回れ!林を抜けろ!」
ところが、ガーラが叫んだその先には、ニジェを慕う30の兵が矢を射るばかりに現れた。
『おんどりゃ~!ガーラめ~!!ナシャの仇っ!』
「あわわ。あわわ。左じゃ!左に回り込め!」
ガーラ達は今度は左の林に体を変えた。
「ウぅ~!」
しかしそこにも弓矢をギリリと引いた7人の兵が、橙の木漏れ日を浴びて仁王の如く立ちはだかっていた。
他の兵とは風貌の違う兵。
『初めまして。ガーラ殿。若い女子はお好きかしら?』
マンサであった。