フラミンガ紛争 8~水浴びのハラ・ひざまづくニジェ
ハラはまだ熱い陽射しが降り注ぐ夕刻、せっせと三艘の船に瓦礫の山を築いていった。
大きなシダの葉の茂みの間から時々腰を上げ、小屋の様子を見たもののニジェが小屋の中に入った事には気づかなかった。
(暑っちいィ!)
黒褐色の肌に夕の日が照らされて汗は黄金色に光っていた。
(ちょっと、一風呂浴びてくるか。)
ハラは川岸から一際高い葦の向こう、深い流れの方に向かった。
ザッブ~ン!
(ほ~!気持ちいいい!)
ハラは頭までドップリと浸かるとすぐに水面に顔を出した。
(あれ?おれ、上に流されている。)
ハラは近くにあった葦をギュイと捥ぐと、ポイと水面に流してみた。
すると、葦の葉はユラユラと上流に向かって流れ出した。
(来た!ポロロカ!)
褐色の身体をザブンと立ち上げると、東には淡い紫の空にポカリと白い月、西には橙色に真っ赤な太陽が見えた。
(陰と陽が一直線だ!来るぞ!来る!)
その紫の空の下、東からの潮流の彼方。水の流れとは全く違う揺れ動く一団を目にとらえた。
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ニジェは後ろ手に縛られると、ガーラの前に膝まづく様命じられた。
『ようこそマタ様。少しお話を伺いたい。』
『何をだ!』
『おっと、お前ら外に出てろ。アゾもだ。二人にさせてくれ。ここからは重要な機密だ。』
20の兵は皆、表に出た。
『何をだ!』
『お前、バルの宮殿から逃げた時、虹色石を持ち逃げしたであろ?』
『フン!持ち逃げだとぅ? あの石はな日の光に当てると虹色に光るんだ。それを見るのが好きでな、眺めて遊んでおっただけじゃ!』
『しかし、くすねた、、?』
『たまたま握っておっただけじゃ!』
『価値を知っておろ?』
『価値?知らん!知らん!』
『このカザマンスでは、あれを持っておれば一国が買えるぞっ。どこに持っておる? どこにやった?』
『ハハッ!ジョラだ!霊媒師にお礼に差し上げて来たわ!ハハッ!』
『なにぃ~!ジョラだとぅ!あのムルとかいう霊媒師か?!』
『さーてね!誰だか忘れたわ。』
『フン!探し所がわかればもうお前に用はないわ! ほれ!この葦吹きの屋根に火を放てば、火薬ごとお前も吹っ飛ぶ。』
そう言うとガーラは小屋の扉を開け、ワリを呼んだ。
『おい、ワリ!火を熾せ。わかっているな!さすればじゃ!』




