フラミンガ紛争 7~ニジェ様どうなさいますか?
ハラは考えた。
(この三艘の船は置き去りにされているわけではない。
もしあの小屋が武器弾薬庫だとしたら、この船は非常事態の運搬船。あの対岸の船着き場では距離がある。運び出すにも川を渡らねばならぬ。一苦労だ。ここは村からそんなに離れてはいないし、シダと葦に覆われている。隠れ小屋としても船を隠すのにもは打ってつけの場所だ。
ニジェならそう考えるはず。)
ハラは腰を屈めながら、朝からその船の小さな甲板にせっせと倒木や大きな石を放った。重ければ何でもよかった。
(スタコラスタコラ、ポイポイポイっと!まだまだ積むぞう!)
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『ニジェ様どうなさいますか?』
アゾが聞いた。
『私が思いますに、ガーラ殿はあの弾薬庫にいるのではないかと? せしめてしまえば勝負あった!でありましょうし。』
ワリが先に答えた。
『しかし、今行くのは危険では?もう少し時を待った方が。』
アゾはそう言った。
『確かに、、しかしあそこを押さえねば、、行ってみるか。』
『お供します。しかし多勢で行っては見つかれば矢が、、いえ銃弾が飛び交う事になりはしまいかと。』
『、、そうだなワリ。俺とアゾ3人で様子を窺って来るとするか。』
『それで、よろしいかと。ただ既に日は頭上過ぎ。見つからぬ様。』
『では、さっそく参るか!』
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ハラは人差し指をペロリと舐め頭上で風を読んだ。
(東の山からの吹きおろしの風だな、、、西風に変わらぬとポロロカは来ぬな。昼過ぎにまだこの向きだとネプチューヌ様は夕から夜。ここでポロロカを見た事はないが、この奥地にお出ましになる頃には緩やかな逆流になっているはず。傍目には流れが変わっている事には気づかぬだろうな。)
ハラは足元のシダの葉を毟ると屈みながら川岸に向かい、試しにポイとその葉を水辺に流してみた。
ユラユラ
流れはいつも通り下流に向かっていた。
(この船の行く先は天にまかせるのみ)
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ニジェ達は辺りを窺いながら、ゆっくりと歩を進めた。
いつもなら、すぐに行ける場所。しかし太陽が傾き始めるくらい多くの時間を費やし、弾薬庫の前にようやく辿り着いた。
『ニジェ様、ここには誰もおらぬようですね。ガーラ達はどこに消えたのでありましょう?』
アゾは小屋の裏手にも回った。
『まさか既に武器や弾薬は持ち逃げされてしまっているとか?』
『開けてみろ。』
バタ!ギ~!
『ハッハぁッ!おー!ドゴンのご子息マタ殿~! 御足労でありましたな~! おー、アゾもご一緒で~!よくぞいらっしゃいましたあ~!』
『うぐっ、、ガーラ!』
『お連れして参りました。』
そう答えたのは、なにあろうワリであった。
 




