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フラミンガ紛争 6~ドゴンの血【挿絵有】

『でだな。アクラは、、えーと、なんといったかのう、、名前は忘れたが、王の護衛官とドゴンの村に行って一番賢い子をもらってきたそうだ。アクラは可哀そうで見ておれんかったらしいが、その護衛官が無理やり家から引きずり出してな。』


 『第6夫人が赤子をジョラに譲ってから5年、、その子がファルと同じ年という事はその時5歳、、、物心はもうついておるな。』

『ついておるわな。』


 『おや?待てよ。という事は血は繋がってないとはいえ、その子がニジェだとしたら2人とも第6夫人の子、、おっ二人は兄弟ではないか!!』


『ん?なんだ?ニジェがその子というのか?』

 『いや、お前は知らなくてよい。ほれ、まだあるぞ。肉。』



『しっかしなぁ、ドゴンは並外れた身体能力だわ。獣道も知っておる。』

 『ん?ドゴン族に会ったことでもあるのか?』

『わしは無いがな。ほれ、カマラやドンゴが。』

 

 『なんの話だ?』

『マンディンカにフランスが攻め入ったであろ? いち早くジョラに逃げ込んで来たのがドゴンだ。』

 

 『ドゴン族がジョラの村に?』


『そうだ。フランスが攻めて来た事も奴らから聞いた。』

 『で、ドゴンはいずこへ?』


『いずこへ? あんな連中我が村に入れるわけはないであろう!フランスの情報さえ聞ければ用は無い。、、殺った。10人。カマラがそう言うとった。』

 『遺体は?』


『お前は知っておるじゃろ? モリンガの道じゃ。』

 『おう、遣使が行き来しておった道じゃ。』

『そこにポイっと。ま、奴らはそこを抜けてジョラに来たんでな。そのままポイじゃ。あんな道、もう誰も通らんじゃろてな。』

 

 ムルは思った。そういえばニジェはフランスから逃げて来た時、待ち構えていたジョラに親を殺されたと言っておった。ニジェがモリンガの道を抜けて来ていたとしたら、このドゴンの死体の山を目にしたはずだ。

 5歳で生き別れたとはいえ、ドゴンの身成りや親の顔くらいわかっておったかもしれん。

ジョラに殺された親というのはドゴン族の親の事だ。マンディンカの血筋ではない、本当の親だ。

しかし、その時マンディンカの民も一緒だったなら、、、そのことを言ってしまえば自らのドゴンの血統を暴露する事になる。知っているのは、アクラとその護衛官だけだ。親の遺体とわかっていながら何も言わず通り越して来たのか、、

  

 『今日はこのくらいでよいわ。』

『おい!まだ肉はあるんだろ!置いてゆけ!』

 『いや、お前との祭りは終わったわ。』


挿絵(By みてみん)

ドゴン族のボゴンと呼ばれる宗教上の長

  画・童晶

※ドゴン族

マリ共和国のニジェール川に流域に面したバンディアガラの断崖に居住する民族。

彼らは争いを好まない仮面文化や神話を多く持つ部族。日干しの煉瓦作りに藁葺きのとんがり屋根の家に居住する。


※お忘れの方に。

文中【待ち構えていたジョラに親を殺された】の文面

カザマンス〔FIRST〕静かなる内戦5~ニジェの12行目から密かに触れてあります。参照して頂けたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] ディオマンシは、ホントにどうしようもない悪い人ですね。 ニジエは、とってもかわいそうな境遇ですね、実の親はディオマンシに殺され、育ての親はフランス軍に殺され、ファルも同じ境遇ですね。 こち…
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