静かなる内戦12~ニジェ
『ディオマンシさま~‼ ディオマンシ様~!』
二日後、ニジェは王ディオマンシの宮殿の下まで戻って来た。
扉が開いた。出てきたのはカマラであった。
『お~、ニジェ。もう戻ったのか。』
『はい、二日余りでそれらしき場所に到着致しまして。』
『ほう。でパプとドンゴは?』
『それがぁ、、』
ニジェは少し涙ぐんだ様子で話し出した。
その様子を見たカマラは
『ちょっと待て。あがれ。』とニジェを宮殿に招きいれた。
部屋に入ると、ディオマンシがバオバブの木で作られた大きな椅子にドカと座っていた。
ニジェはこんな間近で王に接見したのは初めてだった。
『王、ニジェが戻って参りました。少し様子がおかしいのでお目通りを。』
『どうした?早いではないか。あの二人は?』
ディオマンシがニジェに声をかけた。
『実はぁ、、』
『実はどうした?』
『敵の矢に射抜かれました。』
『は?二人ともか?』
『はい。』
ディオマンシとカマラは後ろにのけぞった。
『嘘であろう⁉ まさかあの二人が‼ 本当か?くわしく説明しろ!』
『二日目の夜が明ける頃でありました。ファルが言ってたらしき場所に出くわしました。
一面葦の原、遠くには大きなカジュが二本立っておりました。
ただ朝靄が深く,これは絶好だとパプ様がおっしゃいまして。』
『そのまま進んだ?』
『そうであります。』
『馬鹿‼』
カマラはそう言って頭を捻った。
『それで?』ディオマンシは椅子から身を乗り出した。
『その大きなカジュの真下に来た時でありました。フラミンガが飛び立つと同時に突然、、ざっと、、50人くらいの軍勢が。』
『いたのか‼?』
カマラが小さく叫んだ。
『一斉に矢を放って来たのであります。』
『ファルが言っていた通りの数、、』
『矢の雨でありました。その矢がパプ様とドンゴ様を見事に射抜きまして』
『おい、「見事」はいらんだろ。』
カマラはにらみながら、ニジェの頬をつねった。
『で、お前だけ助かった?』