フラミンガ事件 10~尋問
『捕らえろ!』
若い屈強な2人がガーラを押さえつけると、残りの1人が腕を後ろ手にし長縄でグルリと縛った。
ガーラは抵抗もせず、いとも簡単に自らの手首を若い兵に任せた。
「では、ニジェ。いやニジェ様。私たちはこの辺で。」
『ありがとう。ハラ、ドルン。お前らの、、足音のおかげでナシャも助かった。。』
「俺らはカマラの様子を見に来ただけなんで。それも済んだし。ではまた。」
『あっ!ファルにはくれぐれもよろしくと伝えてくれ。道中気をつけて。』
ハラとドルンは河原の岸まで渡り終えると、そこでニジェ達と別れた。
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『ドルン。見たか?』
「見た。」
『お前もそう思ったか。』
「うん、あの縄。あの若い兵、キツく締めなかった。緩かった。」
『何か虫が騒ぐ。良からぬ気配がする。俺はこの辺りに忍び込んで、、、ここに残る。お前はこの一連の騒ぎをファル様に伝えてくれ。』
「わかった。ハラも充分気をつけて。」
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ガーラは村まで連行されると莚の上に両手を縛られたまま、膝をつかされた。
周りを兵が取り囲んだ。
密林の村は、すでに黒い闇。獣たちの声だけが木霊となり森の木々を響かせていた。
『では、聞こう。なぜナシャを狙った?』
『ハハッ!簡単な話だ。ナシャがここで殺されたとあらば、フラミンガと名乗りこの地に移る事を模索したお前の責任だ。お前にその全ての責任を負わせ、王の座から引きずり降ろそうとしただけのことよ。
わしはな、最初からお前みたいな若僧を王になぞと認めてはおらん!第6夫人の子なぞな!
わしはバル王に使えその第1夫人の子、サバ様にずっと従い申しておったからな。まだ生きておるかもしれぬというのに、なぜお前なんかに! わしの頭の中ではお前の名はまだ「マタ」のままじゃ!』
『なるほど、そういう理由か。急に開き直ったな。ガーラ、お前、他にも悪さをしておらぬか?』
『、、、おう!した!した! レノーを射たわ!』
『ん?あれは咄嗟の事ではなかったのか?!』
『咄嗟には咄嗟だったがな、お前の「その兵を撃つんじゃない」という言の葉、聞こえとったわ!脳の髄までな!』
『ではなぜ?』
『一瞬の判断だ。フランスを1人でも味方に付ければ、お前はドンドンつけあがるだろう。株もあがる。と思ってな。だからお前がどう言おうと、どう叫ぼうとも、、、仕留めた。』
(なぜ、こんなにも開き直っているんだ。殺されるのを承知と思っているのか、、)
『他には?』
『ああ。アクラのことか? 目の上のたんこぶか。』
『ん!?!? アクラぁ?!』