表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/345

フラミンガ事件 9~内なる敵

『はい。確かに。この目で。』


『これ、このムクロジは初物らしい。去年も実がなって落ちていたらしいが、誰もムクロジとは気づかなかったらしい。 それでな10日ほど前に、たわわに実っていた実がポトリポトリと落ちた。

麻袋10袋にもなったそうだ。』


 『はい? それがどうかなさいましたか?』


『で、雨がしばらく続いたろ? 殻をく作業が出来なくてこの間の晴れた日にようやく女衆が茣蓙ござを広げた。』

 『はい?』

『そう、あのナシャが襲われた日だ。夕方まで作業がかかったので、ナシャに水汲みを頼んだらしい。それでだ、もう日が暮れる頃この殻を川に捨てたそうだ。今いるこちら側。流れの早い方。』


 『女共も考えましたな。』


『でだ。川といっても葦の原。捨てた殻は人目に触れる事はない。』

 『確かに。』


『しかし、唯一、人が目にする事が出来るのは、葦を根こそぎいだこの船着き場を通り過ぎる一瞬だけだ。』

 『ん?』



『ガーラよく聞け。ムクロジがここを通過したのは、その日。よい迫る直前の夕刻。わずかな時間。あっという間だ。それを過ぎれば真っ暗闇だ。いくら船着き場でも、もう見えん。』

 『は?』


『もう一度言う。よく聞け。お前がこのムクロジを見たというのなら、まさにナシャが襲われたその日。その時。日没目前。お前はここに立って、向こう岸を見ておった事になるが。。。』


 『うぐ、、、』


『どうした?ガーラ。いたな。』


 『あ、いや、私は、、、た、確かに立ってはおりましたが、、いえ、わ、私は、ナシャが襲われたんで、そのぅ、、カマラとやらを追って、、矢を放ちナシャを助けたのでありますが、、』


『ではなぜそう言わん。助けたのならお手柄じゃないか?なぜ今まで黙っておった?』


 『う、、』

『しかもだ。そうであれば、何故矢を放った後にナシャを救わなかった?助けなかったのだ?気になったであろう?』

 『、、、』

『お前はカマラが現れる事を予測できたのか? そうとは思えん。それは突然の出来事だ。お前は初めからナシャを襲う為、ここで待っておったのであろう?』


ガーラがグニュと顔をゆがめた。


『でだ、ナシャを襲ったのにトドメを刺さなかった理由もわかった。そう、今日皆が休息している間に一人でな、殻を捨てた場所からここまで、葦の切れ目はないかと探しておった時だ。その理由が飛び込んで来た。刺さなかったのではなく刺せなかったのだ。』


 『ど、どういうことだ、、』


『ホーい!!出て来~い!』



 「おやおや!ガーラ殿!お久しぶりでございます!」

林の奥から出て来たのはハラとドルンであった。


 『お、お前はあの時の!!』

「はいはい、ドルンであります!今日お散歩に出掛けましたらニジェも一人でお散歩してましたので、お声を掛けさせて頂きました。お一人でしたのでお声を掛け安く。」



『して、わかったのだ。お前がナシャの死を確認しなかった理由が、、いや、確認出来なかった理由が。、、、逃げたのだ。カマラを射た瞬間にこちらに向かって来る水音。水を蹴り上げて向かって来る足音を聞いたのだ。それがこの二人、ハラとドルンだ。』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] えー! プチパニックです。 疑問しか出てこない。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ