表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/345

フラミンガ事件 8~ムクロジの殻3

 翌日は朝から雲一つない晴天に恵まれた。

絶好の捜索日和であったが、フラミンガの民は皆夜通しの犯人探しに疲れ切っていた。


 『今日は半日ゆっくり休もう。皆に倒れられても困るし、少し英気を養ってから。』

ニジェが言うと、皆はもうひと眠りと決め込んだ。


女衆はムクロジを麻袋からドサと茣蓙ござに広げるとまた殻をき始めた。


『おいおい、この殻。川に捨てるでないぞ!』

 「あらま、ガーラ殿!見られておりましたか?」

『見てはおらんが、川に流れていたからお前らの仕業しわざだなと。』

 「しかしニジェ様がそれでよいと、、」

『ニジェ様が?そうか、そう言ったのなら、、まあ良いわ。好きにせい。』


日が西に傾き少し涼やかな風が吹き始めた頃、ニジェが男衆に声を掛けた。


 『そろそろ出かけるぞ!支度をせい!』

「えっ、これからでございますか?すぐに日が暮れてしまいますぞ。」

 若い兵がニジェに尋ねた。

『良いから、良いから。早く支度をせい。』


兵は4、5人で一つの班を作り、密林の奥深く四方八方へと散って行った。


 『ガーラ。俺たちはナシャが襲われた場所に行くぞ。』

「ニジェ様、お言葉を返す様でありますが、あそこはもう何度も見て参りました。それにあそこに犯人が舞い戻るとはとても思えませぬが、、」

 『いいんだ。いいんだ。』


ーーーーーーーーーーーーーーーー


 ニジェとガーラは若い屈強な兵3人を引き連れ河原の岸まで来ると、ナシャが襲われた向こう岸を目指し、葦の切れ目をジャブジャブとくぐって行った。


船着き場を腰の辺りまで浸かりながら向こう岸に着くと、ニジェは振り向いて、その岸辺に座り込んだ。


「どうされました?ニジェ様。早くしないと日が暮れますぞ。」


 『良いから。良いから。お前らもここに座れ。休憩だ。』

ニジェは渡って来た川の高い葦の切れ目から、少しだけ見える向こう岸を眺めた。



 すると昨夕同様、足元の葦の間からウゴウゴプカプカとオレンジの夕に照らされたムクロジの殻が湧き出て来た。

それは船着き場の水面をまたしても勢いよく横切って下流の葦の中へと消えて行った。


「また、あいつら!流しおって!」

 『いいんだ。いいんだ。俺が許可した。』

「、、、、ならよろしいのですが、、」


 『それよりも、ガーラ。』

「なんです?」


 『見たんだな。これを。』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ムクロジの殻が流れているのを、見て、何かに見えたのかな? なんとなく情景は頭の中に浮かんでいるのですが、 分からない( ; ; ) 明日には分かるのかな?スッキリしたいです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ