表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/345

フラミンガ事件 6~ムクロジの殻1

『どうされました?ファル様。』

 『なんだか寝付けなくて。』

『あら?なにかお飲みになりますか?』

 『ハラとドルンは大丈夫だろうか?』

『大丈夫ですよ。ハラはお強い。ドルンは賢い。』

 『まあな。』

雪洞ぼんぼりの火を消しますよ。』

 『ああ、そうしてくれ。マンサ。』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 フラミンガの二日間に渡る犯人捜しは一向に進展しなかった。


『駄目ですな。わかりませんな。』

ガーラは首をひねった。


 『この鬱蒼うっそうとした葦や林の中に逃げ込まれたらもうお手上げだ。』

『既にこの辺りにはいないでありましょうな。』

 『手がかりすら掴めない。』


ニジェはガーラと5人の兵を連れて、ナシャの襲われた場所に来ていた。


『他をあたっている男衆も何も言っては来ない、、』


7人は皆、茫然と船着き場の流れる水面みなもを見つめていた。

 『また、太陽が沈むな。』

『ニジェ様。そろそろ戻りますか?』



『ん?なんだ?あれ?』

 薄暗くなった黒い水面に葦の間からウゴウゴ、プカプカ、スイスイと泡を立てながら現れた。

それはわずかに残った夕日のオレンジに照らされ雪洞ぼんぼりのように、二ジェ達の前を上流から下流へと流れて行った。


『あの女ども、この間もこのゴミを流しておったわい!全く!』

 『ん?ゴミ? ガーラなんだいこれは?』

『なんて言いましたっけねぇ、、あっそうそうムクロジ。ムクロジであります。何やら実をさすると泡がブクブクと立って、身体が洗えるそうであります。フランスが使っていた石鹸みたいなもんでしょう。』

 『ほーう。』

『これはその殻であります。』

 『頬月ほおづきのようだ。』

ニジェ達は腰を下ろし、灯篭さながらのムクロジを眺めた。

しかし、早い流れに身を任せていたムクロジはアッという間に、また葦の闇へと消えて行った。


ニジェはスクと立ち上がると、

『ガーラ、それから皆。暗くなってしまうがもう少し何か手がかりを捜して来てくれ。俺は女衆の様子を見に戻る。』

 と言って葦の間をジャブジャブと河原の岸へと抜けて行った。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ファルは雪洞が出てきて、ニジェは灯篭が出てきて。なんか繋がり感じてしまいました。 ムクロジは、知らなかったので調べてみました。 石鹸みたいに泡がでるんですね。勉強になります。 ニジェは何か…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ