表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/345

[カザマンス・SECOND] 【第一幕】フラミンガ事件〜序章

『ナシャがいない?』

『はい。夕に、この裏手の川に水を汲みに行った切り、夜になっても戻らないと。』


 『ナシャはいくつだ?』

『10であります。』

 『けものかなにかに襲われていては大変だ。すぐに皆に報せ! 皆で捜すぞ!』


 もう、とうに日は暮れていた。

あのモリンガの泉の更に奥深くに居を構えていたフラミンガの男達は、寸先も見えない密林の漆黒に散らばった。


 『これではわからんな、、』

『ニジェ様、お足元にはくれぐれもお気をつけて。』


『ここには、私たちしか住んでおりません。さすれば、獣の仕業かと。』

 『道に迷ったか?』

『いえ、ナシャは毎日涼しくなった夕に、そこに水を汲みに行っていたらしいので、その様な事はないかと。』


 ナシャは10になったばかりの少女であったが、毎夕、母親に頼まれ、頭に土籠つちかごを乗せて夕飯ゆうめしの支度用にと川の水を汲みに来ていたのである。


 『この河原か、、土籠つちかごはあったのか?』  

『河原の石に、、、砕けて粉々に割れておりました。その水辺の辺りです。』

 

 『何かに驚いたのか? 道に迷っているなら籠は持っているはず。』

『確かに。』


 『近くで獣の声はせぬか?』

ニジェとガーラは耳を立てた。

『川の流れる音しか、、』


 『しかし、10才の足では遠くには行ってはおらんはず。必ずこの近くにいるはず。皆に見つけ出すまで捜すよう伝えてくれ。』


 『かしこまりました。』


 寝転がれば大人でさえすっぽりと埋めてしまう膝丈の濡れたシダは、暗闇と共に行く手をはばんだ。

 掻き分けても掻き分けても覆いかぶさるそれを、フラミンガの男達は自分たちも迷わぬよう強く踏みしめ、帰り道を作りながら進んだ。


『ナシャ~!ナシャ~!! ナシャはどこにいるぅ! いたら返事してくれ~!』

 皆、大声で叫びナシャを呼び続けた。

それは木々に木霊こだまし、密林のスピーカーと化した。



『いない。どこにも。』

 『こちらの呼ぶ声にも反応はない。』

『どこに、、』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] Second始まりましたね。 一日おかずに、カザマンス投稿ありがとうございます。 ナシャはどこに行ってしまったのかな?カマラが関係しているのかな? 続き楽しみにしています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ