火蓋の上下 45~新たな始まり 『カザマンス・FIRST』 完
フランス軍は若い二人の兵を残し、燻ぶった黒い煙と共に瓦礫の下に全滅した。
『ガーラ。音は静まったな。』
『しかし、これほどとは。』
『もう耳から手を放せ。パキパキと残り火の音がするだけだ、、、終わったよ。』
かろうじて持ちこたえた倉の中から、ニジェとガーラは外の様子を窺いながら出て来た。
『何も残ってない。すべて崩れ落ちた。』
『熱っ!』
倉の外壁に触れたガーラは悲鳴を上げた。火に炙られた壁は熱を閉じ込めたままだった。
『ファルは、こんなことになってるなんて、知らんだろうな、、、』
ニジェは黒く爛れた瓦礫の山を見ながら独り言をつぶやいた。
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『何をやっておるんじゃ!!たかだか数十の野良犬に!』
マンディンカ宮殿に傷を負ったまま逃げ延びて来た若いフランス兵は、ジルベールに罵声を浴びせられた。
『バスチアは!レノーはどうした!!』
二人の兵は黙った。
『ちっくしょう!! 俺は絶対に引かんぞ! 復讐だ! 我が国フランスに莫大な富を潤すだろうカジュの酒を手に入れるまではなっ!! 絶対に!!』
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『ファル様、ニジェにお会いになりますか?』
『、、いや、やめておくよ。こんな地獄の様な沙汰では、、。いつか鳥のさえずる晴れた日にでも。』
『そうですか、、』
『おい、ディオマンシのおっさん。。これを口に入れろ。』
『なんじゃ、これは!?』
『モリンガという力をつける実だ。』
『毒ではないか?』
『ハハッ、連れてく間に死なれても困るからな。戻って罰を受けるためにも生きててもらわなきゃな。』
『うぐっ。』
『ほれ、食え。』
ハラはディオマンシの口に、それを詰め込んだ。
『うぐぐぐぐ。』
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ニジェ達フラミンガがジョラに矢を向けた、沼というにはほど遠い、泉のようなそこは今日も澄んだ青と銀色の光を放っていた。小魚は揺れ動き、緑の藻は水中で踊っていた。
900もの効能を持つと言われるモリンガの実は、その泉に落ちると殻だけを残し、栄養たわわな果液を沼底まで浸透させていった。
その泉は深い傷を癒し、男の体内を洗い流すと傷口を塞いだ。
そして新たな体液を身体中に送り込むと、その男の両手を突かせ、二本の足をスクと立ち上がらせた。
カマラだった。
ここまで、お読み頂いた方へ
まずはお読み頂いたお礼を申しあげます。
稚拙な文章、わかり辛い点もあったかと思いますが、ここまでのお付き合い誠にありがとうございました。
カザマンスのここまで。いかがでしたでしょうか?
ここからは『カザマンス・SECOND』として、題名そのまま連載を続けていく所存です。
私も勉強しながら知識を蓄え、作品作りをしていくつもりでおります。
ご感想等、いつでもお待ちしております。
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『SECOND』もお楽しみ頂ける様、精進致して参りたいと思っております←固い(笑)
※モリンガについて
怪我から病気まで多くの効能を持つアフリカを中心としたスーパーフードです。
日本でも通販等で、売られています。興味のある方はお調べになってみるのも面白いかもしれませんね。




