火蓋の上下 42~スッテン!ディオマンシ
『おやおや、ディオマンシ様。』
そこに立っていたのは、ジョラの新王ファルとジョラ軍の長となったハラであった。
『おー、おー、助けに来てくれたのかい?』
『おっさん、起きろよ。なに寝ぼけたこといってんだい?』
ハラは右の頬をを少し動かして笑った。
そして、ディオマンシに繋がれたロープを手に取ると、思い切り手前に引っ張った。
スッテ~ン!
ディオマンシはものの見事に、ファルの足元に仰向けにひっくり返った。
『痛ててて。何をする!!』
ファルはその大きなネズミの上に跨ると静かに囁いた。
『フランス軍と戦う為に来たのではないよ。ましてやお前を助けに来たわけでもない。』
『では、何を?』
『ニジェに会いに来たんだ。』
『ん?ニジェ?』
『会いに来てくれたお礼に、今花火とやらを打ち上げているのがきっとニジェであろう。』
ハラがまた笑った。
『これは、、、ニジェの仕業か?!』
『で、、、丁度良いところにお前がいたってわけさッ。』
ハラは寝転んだディオマンシのおでこに矢を向けた。
ギリりりり~
『わあ、やめてくれ~! 助けてくれ~! お願いだぁ~!』
すると、ファルが左手でハラの矢を止めた。
『お前は数々の悪さをして来たであろ? 何人もの殺害、殺戮。グリオの弾劾や処刑。罪もない民に言い掛かりをつけ、お前の好き勝手で殺してきたであろ? カマラやドンゴ、パプに命令して手を下したのはお前だろ?』
『いや、いや、あれは奴らが勝手に、、』
それを聞くと静かに話していたファルの声が怒号に変わった。
『嘘を言うんじゃないっ!! 全てはお前の命の下だ! オレの親!ンバイとマリマを殺ったのもすべてお前の仕業だ!!』
『あ、あ、あ、お前ら、わしを殺そうというのかぁ、、!!ゴホっゴホっ』
仰向けのまま大声を出したディオマンシは咳き込んだ。
『ファル様。もう少し弓矢を強く引っ張ってもよろしいでしょうか?』
ギリッギリギギィ~
『おいっ!ハラっ!やめろぅ!やめてくれぇぇ!』
『というわけでな。お前にはもう一度、この山を越えてもらう。』
ファルはジョラの村の方を指差した。
『お、助けてくれるというのか?!』
『お前には罪を償ってもらう。このまま殺してはお前には一瞬の負荷しかかからん。お前の命は一生オレが預かる。そして一生償ってもらう。簡単には死なせん。死ぬまで苦しんでもらう。いかがかな?』
Boooooonn!!Babababab~!
『今なら、あの火の中に葬ることもできるぞ。』
ハラが言った。
『わかった。命だけは助けてくれ、、』
『では、起きろ。』
『あっ、おい、わしに近寄るな!』
『?』
『お前ら疫病だろ? フランスの奴ら共に聞いたぞ!』
ファルとハラは笑いながら顔を見合わせた。
『そうだ、そうだ、オレ達は疫病にかかっておる。だけど命預けるんだろ? 早く立て。手を貸そうか?』
『いや、自分で立つ。』
ドッカ~ン! Ⅾododo~ン!Babababa~N
集会所の爆発は切れ目なく続いていた。




