もやもや
自分達はいつものようにやっていたから忘れていたが、ラディはまずしておくべきことを告げた。
「シェイレーン、カロックへ来たら最初に結界を張っておくといいよ。魔物が出る度にやっていたら、その間に襲われることだってある。最初からやっておけば、安心して移動できるから。これ、俺の先輩からのアドバイス」
「わかったわ」
シェイレーンは素直に自分の周りを結界で囲った。
「それと……俺はシェイレーンより上のクラスだからちょっと先輩面して言うけど、もう少し肩の力を抜いた方がいいよ」
「え?」
「さっきの魔物に向けた魔法を使ってる時、すごく力んでるように見えたんだ。あれだと、続けて魔法を使ってるとかなり疲れると思う。かけらを捜すために魔法を一つ、指定されるだろ? シェイレーンは今回、土だっけ? その魔法が使えなくなるくらい疲れたら、かけらを見付けられなくて帰れなくなるってこともありえるだろうし」
「慣れなくて力むのは仕方ないわよね。あたしだって、最初はそうだったもん」
まして、レリーナの場合は魔獣を呼ぶことさえできないレベルだった。ラディが一緒だったからその点はクリアできたものの、攻撃魔法の力も弱い。自分でもそれがわかっているからとても怖かった。恐怖心があれば、余計な力も入るというものだ。
「俺達は一人でやる大変さっていうのは想像するしかないんだけど、少しくらい力を抜いても何とかなるよ。えーと、全然参考にはならないと思うけど、俺は今までカロックで二度死にかけたんだ」
「二度っ?」
回数もだが、カロックで死にかけることがあるのか、とシェイレーンの顔から血の気が引いた。そんな危険な状態になるなんて聞いていない。参考にならないどころか、恐怖の体験談でしかなかった。
「でも、ジェイが助けてくれたわ。普段はあたし達とそんなに変わらない魔力に抑えられてるけど、いざとなれば助けてくれるの。竜は見習い魔法使いに大変なお願いをしている代わりに、協力者が死んだりすることはないわ。怖い話に聞こえるでしょうけど、命の保証はされてるって言うか」
言えば言う程、シェイレーンを怖がらせているように思えてきた。
「きゃっ」
歩いているシェイレーンの頬に、枝の先が触れた。それだけで木が動く様子はなく、今のは風のいたずらだったようだ。しかし、シェイレーンの顔は青ざめている。今までしていた話が恐怖心をあおるようなものだから、なおさら怖く感じたらしい。
「大丈夫。風で木が揺れただけだよ」
「え、ええ。ちょっとびっくりしただけ」
ここが暗くて怖いっていうのもあるのかな。
魔法を使う時だけでなく、こうして歩いている時もどこかぎこちないシェイレーン。
以前、暗い洞窟の中へ入ることがあったが、その時のレリーナもこんな感じでぎこちない歩き方をしていたような気がする。その時は今以上に暗かった。
洞窟なのでもちろん月明かりなどもなく、明かりと言えばラディが出す火くらいのもの。レリーナはラディに掴まって進んでいたが、どうしたって歩みは遅くなる。
あの時のような雰囲気を、シェイレーンから感じるのだ。
しかし、シェイレーンはそれをあまり表に出そうとしない。勝ち気な性格なのか、プライドが高くて恐怖を感じていることを悟られたくないのか。
レリーナは素直に怖がっていたが、シェイレーンは同じ見習いでも会ったばかりの人間に弱みを見せたくないようだ。単にラディ達をまだ警戒しているだけ、ということもありか。
「あのさ、シェイレーン」
「な、何?」
「セルレアってどんな竜?」
竜達には聞こえないよう、ラディはこそっと尋ねる。
「どんなって」
「ジェイはさ、誰に対しても軽い感じで話すんだ。魔獣に協力を頼む時でも、もう少し丁寧に頼めば? って、いつも思うくらい」
「あと、説明がちょっと下手ね」
レリーナがくすくす笑い、ラディは心の中で「ちょっとで済むかな」などと思う。
話題を変えたのは、少しでもシェイレーンの気が紛れるようにするためだ。いつも一緒にいる訳にはいかないが、こうして同行することになった時くらい気楽な気持ちで大竜に協力してもらいたい。
「セルレアの説明は丁寧よ。事情はよくわかったし」
だからと言って、前向きに協力しようと思うかどうかは個人の気持ち次第だ。
「おーい、ラディ。水魔法、もういっちょ頼む。気配がぼけてきた」
「わかった」
ラディが水滴を出す呪文を唱える横で、シェイレーンはきょとんとしていた。
「ぼけてきたって……竜が言うの?」
まだ今回で二度目だが、セルレアからは間違っても聞くことのなさそうな表現だ。
「ジェイはいつもこんな感じよ。誰に対しても同じ態度ね」
目を丸くするシェイレーンの横顔を見ながら、レリーナはジェイについて話す。
あたしより二つ上で同じレベルの女の子。でも、何だか大人っぽい感じだなぁ。
ねこの目に思える少し上がり気味の青い瞳。通った鼻筋にうるおった赤いくちびる。黒の真っ直ぐな髪はさらさらだ。どちらかと言えばほのぼの系だと言われるレリーナとは対照的に、キビキビ系だと思われる。今は慣れない場所で戸惑ってる部分もあるようだが、自分達の世界にいれば迷わず前へ突き進むように感じた。
「シェイレーン、こちらもお願い」
「え、ええ……」
セルレアに頼まれ、シェイレーンが土魔法を唱えようとした時。
「きゃあっ」
また風に揺れた枝がシェイレーンの顔をなでた。さっきよりも枝の触れる時間は長かったが、他から見ればほんの数秒だ。
しかし、本人にすれば、魔物に舌で顔をなめられたようにも感じ、悲鳴を上げると同時に後ずさった。不意だったこともあり、足下を気にする余裕は当然ない。木の根につまづき、そのまま後ろへ転倒しそうになる。今度は悲鳴もまともに出なかった。
「っと……」
そんなシェイレーンの腕を、ラディがしっかり掴まえる。後ろへ倒れかかった少女の身体を引き戻し、その勢いでシェイレーンはラディの胸に飛び込むような形でぶつかった。
「大丈夫? また風で揺れたんだな。足、ひねったりしてない?」
「え……ええ。あ、ありがとう」
少し頬を染めながら、シェイレーンは礼を言った。後ろへ転びかけ、初対面の男の子の胸に飛び込んだということもあり、さすがに虚勢を張りきれなかったようだ。
それを見て、レリーナは少しもやもやした気分になる。ラディに下心がないことはわかっている。逆に、シェイレーンを助けてあげられる位置にいて助けなかったら、どうして放っておくのかと怒るだろう。勝手なものだ。
あたし、かわいげがないなぁ。わがまますぎるわ。優しいラディが好きなくせに、他の人にその優しさが向けられたら気分が悪いだなんて。
お互い、自分の気持ちを伝えられてない状態の時なら、ラディにその気があってもなくてもシェイレーンに対して軽い嫉妬心を覚えただろう。
だが、今は(まだ公言していないが)恋人になった。ラディの気持ちはレリーナに向けられていると知っているのに、別の女の子の手を取るラディを見るのはひどく嫌な気分になっている。
あたし、こんな嫉妬深い性格だったのかしら。ラディは人助けしただけなのに。
自分の醜い部分を自覚して、レリーナは急に自己嫌悪に陥った。
☆☆☆
「ああ、あの辺りで青のたてがみをよく見かけるよ。じゃ、あの中にきみもいたってことだな。道理で青の美しさが際立っていたはずだ」
「私のたてがみはそんなに目立つものではないわ」
エムライドはリンティが気に入ったのか、移動する間もずっと話しかけている。炎の色は違っても、炎馬という同じ種族だから惹かれるものがあるのだろう。
もっとも、積極的なのはエムライドだけで、リンティは冷静な口調で応えている。とりつく島もない、の一歩手前な態度だが、エムライドは気にしていないのか、めげない性格なのか、話しかけ続けていた。魔物が現れればすぐに対応するが、それが終われば再びリンティに話しかけている。
ジェイはセルレアと話していた。中身はよくわからないが、竜同士の話があるのだろう。
そして、ラディは。シェイレーンに色々とアドバイスをしている。女の子一人で異世界へ来るのは緊張するだろう。何度も来ている経験者として、教えてあげられることはいくらでもある。
シェイレーンも協力者となってしまった以上、役目を放棄できないとあきらめがついたのか、ラディの話に真剣に耳を傾けているようだ。
レリーナはラディと同じようにシェイレーンに教えてあげられることはあるはずだが、何となく中に入りそびれた。さっきまでは一緒に話していたはずなのに。自己嫌悪に陥った途端、話の輪から外れてしまったのだ。改めて入って行く勇気も出て来ない。
何だか……いつもよりつらいかも。
レリーナは自分の内側に意識が向き、揺れる柔らかな枝が自分の背後に忍び寄って来ることに気付かない。
「きゃあっ」
突然、身体が浮き、腹部に締め付け感を覚えると同時に地面が一気に遠くなっていく。
「レリーナ!」
木の中に入り込んだ魔物が、その枝を操ってレリーナを捕まえたのだ。しかも、その根を地面から抜き、まるで足のように操ってその場から逃げ出した。完全に木の魔物が人間を捕まえて逃げる図だ。
根は何本にも分かれているので、足がたくさんあるように見える。ジェイも言ったが、ここは砂漠だから砂から根を抜くのは魔物にとって楽だったのだろう。
「待てっ。レリーナを返せ」
ラディが風の刃をレリーナを捕まえている枝以外の部分へ飛ばした。驚いた木が彼女を解放すればと思ったのだが、揺れる枝に風の刃はうまく当たらない。
「ラディ、枝くらいじゃダメだ。中心に雷落とせ」
ジェイが怒鳴る。確かに枝を狙っても、しなやかな動きをする枝になかなか攻撃は当たらない。しかし、木そのものは大きい。操られた木にはかわいそうだが、大きな的を狙う方がいいだろう。ちゅうちょしていたら、レリーナを連れて行かれてしまう。
「レリーナ、結界を強めろ!」
聞こえているかわからないが、ラディは怒鳴った。一応、カロックに来た時点で結界は張ってある。ラディの落とした雷がレリーナに飛んだとしても、結界に守られるはずだが念には念をだ。
ラディは雷の呪文を唱える。白い光が逃げる木のてっぺんに落ちた。枝が人間の手のように上がる。無数の手が万歳しているようだ。この攻撃でレリーナを掴む枝が緩む。
「きゃああ!」
レリーナは枝から解放されたが、振り上げた枝から宙に放り出される格好になった。それを見て、以前自分が似たような状況になったラディは青ざめる。
「レリーナ!」
走って間に合うはずがないのだが、ラディはそちらへ走る。その横を赤い線が駆け抜けた。落下する身体を赤い炎が宙で受け止める。レリーナはエムライドの背に落ちていた。雷を受けた木は、ゆっくりと倒れていく。中にいた魔物は雷の力で消えただろう。
「レリーナ、大丈夫か!」
宙に放り出されて少し目が回ったものの、エムライドが地面に足を着ける頃には何とか戻っていた。レリーナがエムライドの背から降りようとすると、ラディが手を伸ばして助けてくれる。
「レリーナ、ケガないか」
「うん……ちょっとびっくりしすぎて目が回ったけど、もう平気」
「雷の余波はなかった?」
放電ではなく、一点に集中させたつもりだった。だが、力がどう跳ね返るかを全て把握はできない。
「全然。小指の先もしびれなかったわ」
その言葉に安心し、ラディはレリーナを抱き締める。そのラディの温かさを感じ、さっき抱いた嫉妬がどんなにくだらないものか、レリーナは改めて悟った。
いつもこんなに大切にされているのに、他の女の子が転ばないように手を差し出したくらいで変に思い煩う必要などないのだ。
「ありがとう、エムライド。絶妙のタイミングだったな」
「あれくらい、軽い軽い」
エムライドの言い方の方が軽いと思ったが、彼がいなければ地面に落ちていたかも知れないのだ。レリーナはくすっと笑った後、エムライドに礼を言った。
「レリーナ、本当に大丈夫?」
シェイレーンが心配そうに聞いてきた。
「うん。心配かけてごめんね」
「無事ならいいんだけど。あの……あなた達、恋人なの?」
二人の様子を見れば、誰だってそう思うだろう。
「うん、まあ……」
さっきまで何も思わなかったが、人前で抱き合ってしまった。ジェイや魔獣の前ではこれまでもよくやっていたことだが、今は自分達と同じ世界の人間がいる、ということがすっかり抜けていたのだ。
意識した途端、レリーナは恥ずかしくなった。
「あれ? いつの間にそんな話になってたんだ? オレ、聞いてないぞ」
ジェイが初耳だという顔で聞いてくる。
「今まで幼なじみだ、先輩後輩だって言ってたのはどうなったんだよ」
「えっと、ジェイ……話が変わったんだ、つい最近」
「最近? けど、前から今みたいなこと、何度もやってたよな」
「ジェイ、そういうことを大きな声で言わないで……」
確かにジェイの前で何度もラディがレリーナを抱き締めたことはある。だからと言って、それを大っぴらに言わないでもらいたい。言われた方が恥ずかしくなる。
「恋人なら、助け合う力も強くなるわね。うらやましいわ」
二人でいれば、心強い。二人が恋人なら、さらに心強くなる。一人の協力者では得られないものだ。
シェイレーンはさっきまでラディから色んなアドバイスを受けていた。だが、見習いで経験も浅い自分が一人でどこまでやれるだろう。ラディは楽しんでいると話していたが、シェイレーンにはとても楽しむ余裕などない。
「恋人だから強くなるって訳じゃないぞ。ラディ達はたまたま二人だけど、協力者が一人でもやることは同じなんだ。気持ちの上ではちょっと変わるかも知れないけどさ。ほとんどが一人でやってるし、協力者と大竜とさらに協力してくれる魔獣だけでも十分強くなれるんだぞ」
珍しく、と言えば怒られるだろうが、ジェイが真面目なことを言っている。
「ねぇ、シェイレーン」
セルレアが自分の協力者に近付く。
「私、まだあなたに信用してもらえてないのかしら」
「え……そんなことは……」
言葉に詰まる。疑っている訳ではないが心底信用できない、というのが見え隠れするシェイレーンの態度だ。
「……ラディ達は昔からカロックのことを知っているから、すんなり受け入れられたのだと思うけれど、私はそうじゃないから。それに、竜の存在そのものだって……」
「あれ、オレ達の存在って、受け入れられない?」
「だ、だって、私達の世界では、竜なんてほとんど目撃例もないのよ。本にだってちゃんと載ってない。それをいきなり目の前で見せられて、竜ですって言われてもどうしていいのかって感じよ」
ヴィグランから話を聞いていたラディ達だって、本当に目の前にジェイという竜が現れた時は驚いた。それでも、根が素直なのか、二人ともジェイの存在をあっさりと受け入れ、今に至る。
むしろ、世間ではシェイレーンのような反応の方が普通なのかも知れない。魔物が化けてだまそうとしていると思っても、仕方がないだろう。自分達の前に竜が現れるなんて、まずありえないと思っているから。
「それに、私はまだ召喚に慣れてない。何とか呼び出せてはいるけれど、本当にこれでいいのかしらって……」
協会によって多少カリキュラムに違いはあるが、魔獣を召喚するのはラディが今いる上級1のクラスでだ。レリーナのいる中級2でも一応召喚の魔法は習うのだが、それは力の弱い妖精や小さめの魔獣がほとんど。レリーナはシュマを呼びたいという目標があったので最初から魔獣を呼ぶ練習をしたが、本当は少し上のレベルの魔法になる。
それを使えと言われ、自信のないシェイレーンが呼び出した魔獣が果たしてどこまで心を許し、助けとなってくれるのか。
そういった心の迷いみたいなものがあるから、シェイレーンの態度はどこかよそよそしくなってしまう。完全に受け入れることができないのだ。信用してくれてないのか、と聞かれて口ごもってしまうのは、そういった事情が絡む。
「それでいいんだよ。何も深く考えることなんかないって。極端な話、協力者はかけらを見付けるための魔法さえできてくれればいいんだ。あ、魔獣を呼ぶのもいるか。とにかく、これでいいのか、なんて思う必要ないぞ。魔物が出たら蹴散らさないと進めないけどさ、そんなの付け足しみたいなもんだから」
「ジェイ、その付け足しが一番多くないか?」
簡単に言われるので、ラディはつい突っ込んでしまった。実際、魔物に向けて使う魔法が一番多い。
だが、ラディの突っ込みにシェイレーンは小さく笑った。
「ねぇ、シェイレーン。協力してほしいって異世界から呼び寄せた以上、私は必ずあなたを無事な姿で帰すわ。その点は信じてもらいたいの」
「え、ええ……」
「召喚に不安があるようだけど、ちゃんと発動したから私は来たのよ。まともじゃない呼び掛けに応える程、私達は剛胆ではないわ」
リンティがきっぱり言う。彼女のはきはきした言い方は、どこかシェイレーンにも通じる部分があるように思えた。前回召喚された魔獣がどんなものかは聞いていないが、今回に限って言えば似たもの同士が引き合ったのだろうか。
「助け合うって部分に不安があるなら、そこは心配無用だぜ。呼び出された時点ではともかく、協力してくれと言われて承諾した以上、俺達は術者を援護する。リンティのように有能な魔獣が人間一人守れない、なんて思ってる?」
「そんなことは……」
エムライドにまで言われ、シェイレーンは戸惑ったように首を横に振る。
「一時的な関係ではあるけどさ、仲間だぜ。その仲間を見殺しにしたりはしないさ。リンティのように責任感が強ければ、なおさらだ」
エムライドの言い方だと、魔獣全般の話ではなく、リンティを持ち上げているようにも聞こえる。いや、絶対持ち上げている。
言われたリンティは特にエムライドを見ることはなく、シェイレーンと目が合うと小さく頷いた。彼の言う通りだ、とでも言うように。
「今すぐ受け入れろって言っても、無理だよな。だから、無理しなくていいよ。正規の魔法使いだってこんな経験はしてないんだし。だけど、カロックへ来ることは、絶対俺達にとって無駄じゃないよ」
「ここに来たら、魔法の練習になるもん。成績、上がるわよ」
ついさっき魔物にさらわれかけたのに、笑顔を向けられるレリーナの強さにシェイレーンは驚く。何度も来れば、いつか自分もこんなふうに強くなれるのだろうか。
シェイレーンは見た目が勝ち気そうに見えるので、周りからは強い子と思われている。でも、本当のシェイレーンは弱い部分もある女の子だ。弱いが故に、周りがイメージする強い子像を壊すのが怖くて、必死に演じている部分もあった。
しかし、本物の竜と魔獣と魔物がいる世界で、そんな弱さなどすぐに露呈してしまいそうだ。本当の自分のことがバレた時、どう思われるのか怖い。竜は、魔獣はどんな反応をするのだろう。
自分のことがバレるのが怖いと思ったら、どうしても心を開くことはできない。相談をする友達も近くにいないから、どうしていいのかわからない。
色んなことを考えすぎ、シェイレーンはカロックに来て一杯一杯だったのだ。
「ま、気楽にやればいいって」
気楽なジェイの言葉に、シェイレーンは吹き出した。





